2大人気作品終了で変化の兆し? エミー賞受賞結果から考える、HBO、Netflix、Amazonの戦略

エミー賞から考えるHBO、Netflix、Amazonの戦略

 9月23日日本時間の朝9時から生中継された第71回エミー賞授賞式。NetflixやAmazon Prime Videoなどのネット配信ドラマが台頭し数々の良作を輩出しテレビ番組の黄金時代とも呼ばれる中、今年は約10年間業界を牽引し社会現象レベルで影響を与えたドラマ部門『ゲーム・オブ・スローンズ』、最も現実の政治に近いと評され約7年エミー賞常連のコメディ部門『Veep』が揃って最後の年を迎えた。映画界で『アベンジャーズ』が一つの時代を作り終わりを迎えた2019年、テレビ界でもまた大きく時代が動いた年となった。

 最多の32部門にノミネートした『ゲーム・オブ・スローンズ』は、作品賞、助演男優賞など歴代最多受賞タイ記録の12部門を制したが、一方で主要部門である助演女優部門と監督賞などで複数ノミネートしながらで受賞を逃す結果となった。コメディ部門の雄『Veep』も下馬評でコメディ女王ジュリア・ルイス=ドレイファスの主演女優賞と作品賞は確実と言われていたが、無冠で終わった。ベテラン勢が勝てると思われた部門で勝てず、新たな才能が台頭し時代が大きく変わったことを示した授賞式となった。今回はその中でもHBO、Netflix、Amazonのそれぞれの受賞結果に改めて注目していきたい。

幅広い部門でノミネートし新たな才能を輩出するNetflix

 今年の授賞式で『ゲーム・オブ・スローンズ』が勝てるといわれた部門でのサプライズ受賞となったのはNetflix『オザークヘようこそ』のジェイソン・ベイトマン(ドラマ部門監督賞)とジュリア・ガーナー(ドラマ部門助演女優賞)だ。Netflixはプライムタイム主要部門こそ4部門受賞にとどまったが、前哨戦であるクリエイティブ・アーツでは今や最も人気のあるリアリティ番組である『クィア・アイ』を始めとしたバラエティ番組も健闘し全体で27部門受賞。HBOが最多34部門受賞に次ぐ規模となっている。

 数年前から多くのクリエーターと契約をし、これまでクリエーターたちが叶えたくても叶えられなかった作品製作の挑戦の場を映画やドラマに留まらず幅広く提供しているNetflix。映画部門受賞の『バンダースナッチ』は史上初のインタラクティブ映画として革新的な影響を与えたが、これはNetflix側がNetflix『ブラックミラー』のクリエーターであるチャーリー・ブルッカーに打診し実現した作品だ。

『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』

 また製作側だけでなく出演者も、ベテランだけでなく駆け出しの若手俳優を積極的に起用している。先ほどのジュリア・ガーナー、そしてリミテッドシリーズ部門主演男優賞史上最年少受賞のジャレル・ジェローム(Netflix『ボクらを見る目』)もそうだ。ジェロームはベニシオ・デル・トロ、サム・ロックウェル、マハーシャラ・アリなどアカデミー賞を受賞した錚々たる俳優を抑えての快挙を果たしている。

 今年に入って従来の大手スタジオのように、実績(Netflixの場合は視聴数)でシビアにドラマのシーズン継続可否をジャッジしているので、この環境がいつまで続くかはわからないが、少なくとも今回のエミー賞はその成果が出ている年である。

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