『ゲーム・オブ・スローンズ』はなぜTV史上初のグローバル大作となったのか 時代背景とともに考察

『ゲーム・オブ・スローンズ』はなぜTV史上初のグローバル大作となったのか 時代背景とともに考察

 2019年春、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』ファイナル・シーズン作り直しを求める署名がオンラインで過熱した。最終回を迎えた頃には100万の大台を突破。要するに、TV史上最大のグローバル人気を築いたこのファンタジー大作は、多くのファンを怒らせるかたちで幕を閉じたのである。その一方、こんなことも大真面目に語られていたーー「このシリーズが2010年代の象徴だからこそ、酷い終焉は必然なのだ」。一体全体、『ゲーム・オブ・スローンズ』とはなんだったのだろう?

 『ゲーム・オブ・スローンズ』は、中世ヨーロッパのような架空の大陸ウェスタロスを中心とするファンタジー大作ドラマだ。「鉄の玉座」に座す王が死去したことで、諸名家の勢力均衡がゆらぎ、争いと波乱が生まれる。大勢のキャラクターと複数ストーリーライン同時進行、史実をリファレンスした政治的リアリズム、ドラゴンや魔法などの状況を一変させるファンタジー要素など、とにもかくにも情報量が膨大なサーガになっている。なかでも特筆すべき魅力は「予想がつかない展開」だろう。シリーズ原作であるジョージ・R・R・マーティンの未完小説『氷と炎の歌』シリーズは「ファンタジーの典型・慣習」を打破する物語だった。たとえば「死」。選ばれしヒーローと思われたメイン・キャラクターが早い段階で殺されてしまったり、多くのキャラから恨まれる最悪な悪役があっけなく退場したりする。視聴者が既存作品ではぐくんできた「展開予想の勘」は、この残酷な世界ではあてにならない。俗に言う死亡フラグはいつなんどきも全キャラクターに被せられている。ファン集計によると、10話からなるシーズン1時点で、名前のあるキャラクターは28人死んだ。

 「フィクションのお約束」を破りつづける『ゲーム・オブ・スローンズ』は、その衝撃によって、世界最大のTVドラマとなった。2011年にリリースされるやいなやアメリカで旋風を巻き起こし、スター選手を起用したNBCオリンピック・キャンペーンでオマージュされるほどの国民的人気を築く。もちろん欧州各国でもヒットしたが、世界同時配信を心がけるHBOの尽力もあり、2015年ごろにはシンガポールやフィリピンなどアジア圏にも人気が広がっていった。対米貿易摩擦に揺れる中国で最終エピソード配信が急遽中止されるハプニングも起きている(当局にその人気を見込まれ対米威嚇に用いられたと推測されている)。こうして、『ゲーム・オブ・スローンズ』は「もっとも需要の高いTVシリーズ」としてギネス記録を樹立した。ファイナルにあたるシーズン8開始時点では、173カ国におよぶ同時配信、総勢38ものエミー賞受賞、またTorrentにおける違法ダウンロード数ですら史上最高レコードを保有していた。

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