『鬼滅の刃』は劇場アニメに匹敵するクオリティに? 『Fate』シリーズと共通する“愛”の表現

『鬼滅の刃』は劇場アニメに匹敵するクオリティに? 『Fate』シリーズと共通する“愛”の表現

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載中の『鬼滅の刃』のテレビアニメが2019年4月よりTOKYO MXほかにて放送されている。大正時代を舞台に人間を喰らう鬼によって家族を殺されてしまった炭治郎は、鬼となってしまったものの人としての理性もわずかに残る禰豆子(ねずこ)を元に戻すために旅を続けながら各地の鬼を討伐するというストーリーのダークファンタジー作品だ。

 テレビアニメの1話から5話を劇場向けに構成し『鬼滅の刃 兄妹の絆』として劇場先行上映され、30館以下の劇場で公開された映画作品が対象のミニシアターランキングで動員1位を記録した。またdアニメストアが集計した2019年春アニメ人気投票では3位にランクインするなど、高い人気と注目度がうかがえる。ここでは、『鬼滅の刃』のテレビアニメ版の持つ魅力について考えていく。

 本作の特徴としてあげられるのが作画・音楽面でのクオリティの高さだ。先述のようにテレビアニメの放送前に『鬼滅の刃 兄妹の絆』が劇場で公開されているが、驚愕したのが映画館という大スクリーンにおいても魅力を発揮することができたクオリティの高さだ。アニメ映画に寄せられる興行的な期待の高まりもあり、近年多くの作品が劇場で公開されている。その中にはテレビアニメの総集編作品やOVA作品の上映などの形式もあるが、その全てが劇場の大画面や音響でも魅力を発揮できる作画や音楽のクオリティに達しているとは言い難い状況であり、どうしても止め絵の多さなどが目についてしまいがちである。

 映画館での上映に向けて作られるアニメ映画は2時間弱の物語のために数年の月日をかけて制作されることが一般的だ。しかしテレビアニメシリーズの場合は1話につき20分強、それを1クールの放送として12話前後の話数を製作しなければいけない。1クールにつき約5時間分の物語を作らなければいけないために、アニメ映画と同じような作り込みは難しい。そのために日本では作画の手間を省略した手法が用いられるが、それがテレビで鑑賞する分にはさほど気にならなかったとしても、映画館という大きな画面と迫力のある音響を提供してくれる場で上映されてしまうと途端に粗が見えやすくなってしまう。

 しかし近年では、テレビアニメ作品でも一部には、アニメ映画を凌駕しているのでは? と思うほどに映像面、音響面にこだわりを持つ作品が生まれている。『鬼滅の刃』を制作したufotableはそういった作品を生み出す代表例のようなスタジオであり、『Fate/Zero』をはじめとする『Fate』シリーズはそのクオリティの高さで視聴者を驚かせ話題を集めた。コアなアニメファンを中心に根強い人気を誇るシリーズだからこそ、確かなクオリティであればしっかりと流行するという計算の元、手間暇と予算をかけて制作することができたのだろう。

 『鬼滅の刃』においても『Fate』シリーズでも発揮された映像美は健在だ。1話で表現されていたしんしんと降り続ける雪の描写が美しく、穏やかな雪山の様子は炭治郎が家族とともに平穏に暮らす安らぎが伝わってきて、作品の舞台としてとても映えていた。一方で、物語における敵役である鬼が起こした凶行によって倒れる家族の赤い血の色が印象に残り、雪の白と血の赤の対比などの色彩表現が平穏の崩壊を視聴者に伝えながらも、残酷な美しさを感じさせた。

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