『御上先生』山下幸輝の“印象操作”術を分析 作り手たちの信頼も感じる冬木役への抜擢に

放送中のドラマ『御上先生』(TBS系)も気がつけば早くも折り返し。主人公である教師・御上孝(松坂桃李)とその教え子たちの間には特別な絆や信頼関係が生まれ、回を重ねるごとに物語の展開のアツさは増している。“真のエリート”を目指すべく、自ら思考し、行動に移し、切磋琢磨する生徒たち。前回の第5話でその存在が光ったのは、冬木竜一郎という生徒だった。演じているのは山下幸輝である。
日曜劇場『御上先生』とは、まったく新しい学園ドラマだ。松坂が演じる主人公の御上は、文部科学省のエリート官僚にして教師。官僚派遣制度により、名門校である隣徳学院の3年生の担任を務めることになったのだ。これはある種の左遷だともいえるが、彼は覚醒し、立ち上がった。日本の教育現場を侵す腐敗した権力というものに対して、生徒たちとともに挑んでいるところなのである。

そんな本作で山下が演じる冬木は、皮肉屋で理屈っぽい性格の持ち主で、つい正論ばかりを口にしてしまう人物だ。クラスでは目立たないほうだが、彼の発言には力がある。ドラマの初回からどことなく暗く、神経質な傾向のキャラクターだと思っていたが、その印象をひっくり返してみせた。
第5話で描かれたのは、御上の受け持つクラスの面々が「高校生ビジネスプロジェクトコンクール」に挑むというものだった。いまの時代の教育では“金融”は必修であり、彼ら彼女らがテーマとして選択したのは“投資”。投資銀行に勤めていた父を持つ冬木は、彼が生まれる少し前に起こった世界的な金融危機であるリーマン・ショックについて語り、自分たちの考える新たなビジネスを提示してみせた。クラスの中心的な存在である富永蒼(蒔田彩珠)らと冬木が共闘する展開は、まさに「日曜劇場」らしい骨太でアツいものだっただろう。