グリーンランドが舞台のフランス映画『北の果ての小さな村で』7月公開 予告編の語りは三上博史

『北の果ての小さな村で』7月公開

 2018年のサンダンス映画祭でワールドシネマ部門に正式出品された『A Polar Year(英題)』が、『北の果ての小さな村で』の邦題で7月に公開されることが決定した。

 本作は、初短編作『Du soleil en hiver』で第58回カンヌ国際映画祭SACD賞を受賞し、初の長編作『L'apprenti』で第65回ヴェネチア国際映画祭国際批評家週間作品賞を受賞したフランスの俊英サミュエル・コラルデ監督の最新作。北極に位置するグリーンランドを舞台に、人口80人の村の小学校に赴任したデンマーク人の新人教師アンダースが、村の人々や子供たちとの交流を通して、異境の地で生きる術を学んで成長していく姿を描く。

 日本の約6倍の面積をもつグリーンランドは、東京ドームの収容人数とほぼ同じ約56,000人が暮らし、大地の80%以上が氷に覆われた世界一大きな島。2015年にはじめてグリーンランドを訪れたコラルデ監督は、雪に覆われた遠く離れたこの世界に魅了され、映画の撮影を決意。グリーンランド東部のチニツキラーク村に辿り着き、すべてがシンプルで、それでいて心豊かに暮らす村人たちと出会い、この村を舞台にすることを決めたという。撮影前に、数カ月にわたり3回チニツキラークに滞在したコラルデ監督は、村の人々の生活リズムのなかで共に暮らし、徐々に村人たちから受け入れられるように。そんな中、デンマークから新人教師が赴任するという話を聞き、その青年を物語の中心に据えることに決め、1年の撮影期間を要して完成させたのが本作だ。

 主人公のアンダースをはじめ、村の子供たちや猟師などの登場人物は、すべて本人自身が演じており、ドキュメンタリーとフィクション、それぞれのショットを織り交ぜながら独特のリアリティがあるドラマを生み出した。また、200年以上の植民地時代を経て内政自治権を獲得し、その後も独立を目指して自立性を高めるグリーンランドと旧宗主国デンマークの関係性は、職業俳優ではなくその地に暮らす人々が演じているからこそ、よりリアルに感じられ、本作の重要な側面として描かれている。さらに、一面の氷の大地や、雄大なフィヨルド、オーロラなどの美しい手つかずの大自然や、シロクマ親子、クジラの群れなどの野生動物は、撮影監督としても活躍するコラルデ監督自らの手腕によるものであり、本作の大きな見どころとなる。

『北の果ての小さな村で』予告編

 あわせて、グリーンランドの大自然が切り取られた予告編とポスタービジュアルも公開された。 広い大地の下でカラフルな家々が建ち並ぶチニツキラーク村の写真をメインに、主人公アンダースと児童の1人アサーが微笑み合う写真や、犬ぞり、シロクマの親子が添えられたポスタービジュアルとなった。また、無数の氷塊とそびえ立つ氷山から始まる予告編では、騒ぐ児童たちに手こずり、村の人々から受け入れてもらえず、しまいには極寒の地で暖房器具が故障するという散々な目にあうアンダースが、徐々に村の暮らしの中で自分の生き方を見つけ出していく様子が映し出されている。なお、予告の語りは、俳優の三上博史が担当している。

■公開情報
『北の果ての小さな村で』
7月より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督・撮影・脚本:サミュエル・コラルデ
脚本:カトリーヌ・パイエ
音楽:エルワン・シャンドン
プロデューサー:グレゴワール・ドゥバイ
出演:アンダース・ヴィーデゴー、アサー・ボアセン、チニツキラーク村の人々
配給:ザジフィルムズ
2017年/フランス/グリーンランド語、デンマーク語/94分/カラー/5.1ch/1:2.39/原題:Une annee polaire(英題:A Polar Year)/字幕翻訳:伊勢田京子
(c)2018 Geko Films and France 3 Cinema
公式サイト:www.zaziefilms.com/kitanomura/

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