『PEACE MAKER』『進撃の巨人』梶裕貴、主人公役で引っ張りだこ キャリアの裏に地道な努力も

 アニメ『進撃の巨人』シリーズのエレン・イェーガーや『七つの大罪』シリーズのメリオダス、劇場版『PEACE MAKER 鐵 ~想道(オモウミチ)~』の市村鉄之助など、人気作品の主人公役として引っ張りだこの声優・梶裕貴。

 今年5月には、14歳の少年少女たちに向けて声優の仕事について綴った書籍『いつかすべてが君の力になる』(河出書房新社)も出版されるなど、声優業以外にも活躍の場を広げている。一見、輝かしい経歴を誇る梶だが、現在のキャリアを築くまでには、多くの苦労も重ねてきたという。

 梶は中学生の頃から声優に憧れていたものの、当時はネットインフラもなかったため、どのようにして声優を目指せばいいかもわからず、ほぼ独学で演技の勉強をしていたそうだ。高校入学後は、オーディション合格をきっかけに養成所にも通い始め、声優デビューを果たす。だが、その後しばらくは不遇の時代が続いたという。

 梶の演じる役どころといえば、前述したように主人公キャラのイメージが強い。とりわけ、正義感が強くてまっすぐな、いわゆる少年向け作品の“ヒーロー”的な人物が多いだろう。ほかにも、『ワールドトリガー』の三雲修や、主人公以外の主要キャラも含めれば『マギ』のアリババ・サルージャなど、挙げればきりがないほどだ。地声も比較的高いため、このような少年役に抜擢されやすいのだろう。

 梶自身、もともとこうした“王道主人公”を演じることが理想だったというが、ある意味で癖のある少年的な声質が原因で、デビュー後しばらくはオーディションに呼ばれる機会も少なかったそうだ。というのも、声にあまり癖がなく、幅広い年代を演じられる声優の方が汎用性も高く、端役や脇役としての使い勝手がいいためだ。梶の声は、どちらかといえば一点突破型のため、それを活かすチャンスが巡ってくるまでには、かなりの我慢が必要だったという。0か100かの状況でも諦めずに粘り続けたことが、現在の梶の礎となっているのだ。

 言わずもがな、多くの人気声優たちが、華々しい活躍の裏で地道な努力を重ねている。梶も例に漏れず、養成所時代からレッスン以外でも演技の予習や復習を欠かさず、デビュー後も台本や原作漫画を相当読み込んでから本番に臨んでいるという。それについて、梶とは多数の作品でタッグを組んできた音響監督・三間雅文も、梶の第一印象は「真面目」だったと、『いつかすべてが君の力になる』内のインタビューでも語っている。そうしたストイックな性格から、下積み時代から先輩声優たちにもとてもかわいがられており、特に櫻井孝宏や森久保祥太郎にはよく面倒をみてもらっていたそうだ。

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