『ドラゴンボールDAIMA』ついに最終回 鳥山明が遺したドラゴンワールドの行く末は?

『ドラゴンボールDAIMA』最終回後の展開は?

 さあクライマックスだ! 鳥山明の漫画『ドラゴンボール』を原作に、まったく新しいストーリーを紡いできたTVアニメ『ドラゴンボールDAIMA』の最終回に向け、孫悟空と仲間たちによる冒険と戦いの旅が盛り上がっている。『ドラゴンボールGT』を楽しんだファンに嬉しい超サイヤ人4登場の先に、さらなる驚きが待っているのか? そこから『ドラゴンボール』の世界はどこに向かっていくのか?

 鳥山明が2024年3月1日に亡くなったというニュースが流れて、世界中が衝撃を受けた。『ドラゴンボール』が漫画やアニメ、ゲームとして世界中に広がり、とてつもない数のファンを獲得していただけに、悲しみを表す声が湧き上がって追悼のイラストも無数に描かれた。

 『ドラゴンボール』に関してはいくつもの新しい企画が立ち上がっていて、鳥山明が見せてくれるものへの期待が大いに高まっていたこともあって、どうなってしまうのだろうといった関心もささやかれた。そのひとつが、アニメシリーズ『ドラゴンボールDAIMA』だ。

 2023年10月に「ニューヨーク・コミコン」で完全新作アニメシリーズとして発表され、漫画やアニメの最初期に登場したような小さい孫悟空の姿に、いったい何が描かれるのかと興味を誘った。鳥山明もコメントを出していて、「ある陰謀で、悟空達はなんと小さくなってしまいました。解決のため新たな世界に乗り込むことに!」と言って、ストーリーがそれまでのアニメシリーズの延長にあることを伺わせた。(※)

 悟空が小さくなるという設定には、『ドラゴンボールGT』を思い浮かべた人も多かっただろう。1996年から1997年にかけて放送されたアニメシリーズで、そこでは悟空が、「究極のドラゴンボール」から現れた神龍によって小さくされてしまう。このアイデアによって、あまりに強くなりすぎた悟空がもう一度、苦闘しながら成長していく楽しさを見せられるようになって、作品への注目をいまいちど引きつけた。

 そこから四半世紀が過ぎた今、改めて『GT』の再現を狙ったのか? そんな憶測を初っぱなから吹き飛ばしてくれたのが、東映アニメーションのサイトやティザー映像で公開された他のキャラたちの姿だ。悟空だけでなくベジータやブルマや人造人間18号まで小さくなってしまうのだ。

 『GT』とは何か違う。そうだとしたらどのような物語が描かれるのか? 基本ストーリーや設定に関わり、「いつもよりかなり気合いが入ってるかもしれません!」とまで言い切った鳥山明の言葉の意味が、2024年10月からスタートした『DAIMA』の中で次々と明らかになった。

 悟空たちを小さくしてしまった陰謀は、大魔界の支配者となったゴマーによるもので、神様のデンデを連れ去られて戸惑っていたところに魔界からグロリオという名の少年が現れ、悟空を魔界へと連れていく。体のバランスが崩れてしまって力をうまく使えない悟空が、それでも持ち前の潜在能力を発揮してトラブルを乗り越えていく様子に、『ドラゴンボール』や『GT』で味わったワクワク感を覚えてファンは興奮した。

 アニメシリーズを知らない子供たちも、自分と同じような見かけの悟空が冒険を繰り広げ、成長していく姿に共感を抱いたことだろう。大人の悟空たちによるどこまでもエスカレートしていくバトルだったら怖がってしまったかもしれない子供たちでも、悟空ひとりで、それも子供という限定された状況で繰り広げられる戦いなら、自分たちごととして受け止められる。

 後から加わるのも同じように子供となったベジータやピッコロで、バトルも理解の範囲を大きくは超えない。低いレベルからだんだんと強さが高まっていき、冒険によって世界が広がっていくことへの興奮が、凄まじいばかりにハイクオリティの絵で毎週繰り出されるエピソードによってもたらされた。

 かわいらしいパンジという少女(82歳だが)と知り合い、魔界にもドラゴンボールがあってそれらを守っているタマガミという存在に挑み、そしてたどりついたゴマーのところでおよそ越えられそうにない壁にぶち当たる。そこまで積み上げてきたものでもかなわないのかといった絶望の先に差し込む光から、これぞクライマックスといった展開が幕を開ける。正しいことのために力を振るい、勇気をふるって困難に立ち向う悟空たちの姿が大逆転の道を拓いた展開に、子供たちはきっと何かを学んだろう。

 『GT』に登場し『DAIMA』では究極といった姿で現れ、古くからのファンを歓喜させた超サイヤ人4化した悟空の戦いの行方は? 最終回となる第20話を今は、誰もがワクワクしながら待っている状況だが、そこで終わってしまっていいのかといった思いも同時に浮かび上がっている。

 『DAIMA』では、ピッコロをはじめとしたナメック人たちがどこから来たのかが明かされ、何でも願いをかなえるドラゴンボールの秘密にもグッと迫った。『ドラゴンボール』の世界観が一段と深まり、便利な道具だからとひょいひょい取り出し、アンチエイジングに使って良いものかと考えさせられた。それだけの新たな材料が提示されてさあ次はと思ったとき、鳥山明の不在という現実が思い出されて悔しさを抱かせる。

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