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『代償』高橋努インタビュー

高橋努が語る、サイコパスを演じる難しさ Huluドラマ『代償』インタビュー

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 小栗旬主演ドラマ『代償』(全6回)が、動画配信サービス“Hulu”にて現在配信中だ。“第25回横溝正史ミステリ大賞”に輝いた伊岡瞬氏の同名小説をドラマ化した本作は、サイコパスの友人の手により人生と精神を破壊された弁護士が、その友人を葬り去ろうと苦闘する姿を描いたミステリードラマ。

 サイコパスに精神をギリギリまで追い詰められる弁護士・奥村圭介役を小栗旬が務め、圭介を不幸のどん底に突き落とす教唆犯・安藤達也役を高橋努が演じている。

 リアルサウンド映画部では、尾野真千子主演のHuluドラマ『フジコ』に続き、2回連続でHuluオリジナル作品に出演している高橋努にインタビュー。かつて同居していたほど親交の深い小栗旬との共演エピソードをはじめ、サイコパス役に挑戦した感想やネットドラマへの印象を語ってもらった。

「心で芝居しないのが、ここまで苦しいことだとは思わなかった」

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ーー本作で高橋さんは、知的で冷酷な教唆犯・安藤達也役を熱演されています。暴力的な思考を持ったサイコパスを演じる上で、参考にしたキャラクターはいましたか?

高橋努:今回の役を演じるにあたり、達也のような危険性を孕んだキャラクターが登場する作品をいろいろ観てみました。最近の映画だと、『ナイトクローラー』のジェイクギレン・ホールが印象に残っています。ただ、一番参考になったのは、様々なサイコパスの実例が載っている書籍ですね。実際に誰かが演じている映像よりも、文章から知識として学んだことの方が役に立ちました。

ーー書籍から学んだことは、どのように役に反映されているのでしょうか?

高橋:サイコパスにも様々な種類があると知りました。でも結局、型にはまらないことがサイコパスの本質だと感じたので、演技するのではなく“普通”であることを心掛けました。世間一般では、サイコパス=特殊と思われがちですが、パッと見ただけでは僕らと大して変わらない、身近な場所にいるような人たちなんだって。実際、普通であればあるほど、オカシイと感じた時の恐さや不気味さが際立つと思います。

ーーたしかに、思考が読めない不気味さは怖く感じましたね。達也の非道徳的な行動の数々を目の当たりにすると、彼が救いようのない絶対悪だと思ってしまいます。

高橋:達也は自ら殺人に手を染めることはないので、演じていても罪悪感やストレスを感じることはほとんどなかったです。もちろん悪人であることに変わりはないのですが、達也自身は自分の行いが“悪”だと思っていない。逆に僕は、彼の原動力は“愛”にあると解釈しています。奥山圭輔に対する一途で歪んだ愛。愛情を突き詰めると、達也のようになってしまう危険性があるのかもしれません。

ーーつまり、一般的にポジティブだとされる感情が原動力になっている、と。

高橋:そうですね。先日、友人とこれと似たような話をしました。彼は、周りのライバルに対して悔しさや闘争心を強く持っているらしいのですが、僕はあまりそういう感情を持ったことがなくて、そのことを彼に話したら「それじゃダメじゃん」と怒られました(笑)。彼のように、周囲へのライバル意識が原動力になる人もいるけど、僕はそういうタイプではないし、ライバルと呼べる存在もパッと思いつかない。けど、誰にも負けたくないと思う感情や周りへの嫉妬心だって、もとを辿ればに「大切なものへの愛」に繋がっている。種類は異なるかもしれませんが、それは達也が圭介に抱く感情に近いものがあると思います。愛が憎悪に変わることは、僕らの日常生活でもよくあることなんじゃないか、と感じました。

ーーちなみに、高橋さんの原動力はどこにあるのですか?

高橋:純粋に、作品愛や芝居への愛情が原動力だと思います。誰かに勝ちたいと思っているわけでもないし、僕も達也と同じく「愛」で動いちゃう人間なので。あと、「良い演技」や「良い奴」など、周りから「良い」って言われるのが好きですね(笑)。いろんな評価の仕方があると思いますが、僕は誰かに「良い」って言われるのが一番好きで、その言葉を言ってもらうために頑張っているところはありますね。

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ーーなるほど。では演じるうえで難しかったところは?

高橋:今回は心で芝居しないことを心掛けたのですが、これまでは「心で芝居しろ」とずっと言われてきたので、真逆のことを意識するのは難しかったです。芝居でなにもやらないことが、ここまで苦しいことだとは思わなかった。

ーー「心で芝居しない」というのは、どういう状態ですか?

高橋:映像の中や舞台の上で役を生きるということは、芝居の中でなにかしらの行動を取って、様々な感情を表現していくことだと思います。今回は、演技からそれらを排除しようと思いました。周囲への関心を絶ち、人と話す時もただの物体と話しているような感覚で、演技に感情や心を一切乗せない。ただ、圭輔と一緒にいる時だけは心で芝居していたので、そこの違いはありますが。個人的には、素人に戻って芝居をしている感覚でした。すごい下手くそに演じていた感触だけは残っているので、正直、自分の演技を客観的に見るのは怖いですね。演じている時は、役者になりたての頃の感情や記憶がフラッシュバックしてきて、自分はなにを目指して芝居をしているんだろうとか、色んなことを考え出して。

ーーある意味では、役に没入していたと言えるかもしれませんね。

高橋:だんだん達也に侵食されていくような感覚はありました。一年中この役を演じていたら本当の犯罪者になるかもしれない、と。芝居としてはいいですが、人としてはダメになりそうでした。

「小栗はスターになっていた」

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ーー圭介と達也が対峙する面会室のシーンは見応えがありました。ふたりの関係性は、小栗さんとどのように作っていきましたか?

高橋:クランクイン前に軽く打ち合わせましたが、現場に入ってからはほとんど会話をしていなかったです。面会室のシーンは、特に事前の打ち合わせもせず、お互いの呼吸を読みながら演じていきました。小栗の演技が良いから、それに引っ張られないようにするのが大変でした。小栗がぶつけてくる演技を正面から受け止めると、達也と圭介の関係性が崩れてしまう。周りの人間が右往左往する中で、ただ一人だけ毅然とした態度を貫くのが達也というキャラクターなので、そこはブレないようにしました。

ーー小栗さんとは久々の共演でしたが、小栗さんの変化を感じることはありましたか?

高橋:約10年ぶりの共演で、最初はお互いに照れがありました。一番大きな変化は、小栗がスターになっていたことです。昔から演技は良かったのですが、そこにスター性が上乗せされて、『代償』の現場でもオーラを放ってました。とは言っても、根本的なところは10年前となにも変わらず、まったくスター然としていないところが小栗らしいなって。言葉は悪いですが、少しダサいところがあって、そこが余計にカッコよく見えましたね。あと、相変わらず「努くんは本当に芝居が下手だね」と言われました。

ーーなかなか辛口ですね。

高橋:小栗だけでなく、藤原竜也や三池(崇史)監督からも未だに言われ続けているし、あと蜷川(幸雄)さんからも言われてました。みなさん褒めてくれてるんですけどね(笑)。海外の舞台に出た時は、藤原竜也から「日本代表で来ているんだからちゃんと真面目に芝居しないと」って言われたこともあります。でも、写真撮影やサインの時は、不思議と僕のところにお客さんが集まってきてくれるんですよね。

      

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