シェイクスピア全37作品を個人全訳した松岡和子による『シェイクスピア 私はこう訳してきた 悲劇篇』刊行

『シェイクスピア 私はこう訳してきた』

 シェイクスピア戯曲全37作品の個人全訳を成し遂げた翻訳家・松岡和子による新刊『シェイクスピア 私はこう訳してきた 悲劇篇』(筑摩書房)が、9月17日に発売される。

 松岡和子は25年をかけ、坪内逍遥、小田島雄志に続く史上3人目となるシェイクスピア劇の個人全訳を2021年に完結させた。第75回毎日出版文化賞(企画部門)、第69回菊池寛賞、第58回日本翻訳文化賞、2021年度朝日賞、第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞特別賞、第19回坪内逍遥大賞を受賞している。本書は、その松岡がシェイクスピア作品をどのように翻訳してきたのかを徹底解説する一冊となる。

 本書では、原文・直訳・先行訳を比較し、作品が書かれた時代背景や登場人物のキャラクターを深く汲み取りながら、ひとつの言葉を選び取っていく過程が明かされる。取り上げられるのは、『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』。「To be or not to be はなぜ訳しにくいのか」(『ハムレット』)、「独白と傍白はどうちがうのか」(『オセロー』)、「なぜ台詞を金言にしてはいけないのか」(『リア王』)、「「明けない夜はない」は正しい訳なのか」(『マクベス』)といった問いをめぐり、翻訳の舞台裏が語られる。

 『彩の国シェイクスピア・シリーズ』をはじめ、今年は市川染五郎主演の『ハムレット』も松岡和子訳により上演された。松岡は「戯曲の翻訳は稽古場で完成する」と語っており、俳優の体を通して翻訳の言葉を変えるエピソードも多数収録されている。

 松岡和子は1942年、旧満州生まれ。東京女子大学英文科卒業、東京大学大学院修士課程修了。翻訳家、演劇評論家として活動する傍ら、東京医科歯科大学教養学部の英語教授を務め、1997年にシェイクスピアの翻訳に専念するため退任した。シェイクスピア戯曲の新訳のほか、『クラウド9』など訳書多数。著書に『深読みシェイクスピア』などがある。

■松岡和子(「はじめに」より)

訳していて初めてわかったシェイクスピアのこと、翻訳の際に悩んだこと、稽古場で役者さんが台詞を言うのを見て気がついたこと――劇の台詞の一言一句をより深く味わい、ときに「難解」ともいわれるシェイクスピア演劇を鑑賞するためのガイドにもなるはずです。

■目次

はじめに
第1章 ハムレット 前編|あいだのひと/後編|主語と独白
第2章 オセロー 前編|愚かしさの極み/後編|戯曲の翻訳は稽古場で完成する
第3章 リア王 前編|歓ばしい悲劇/後編|金言にしない
第4章 マクベス 前編|weからaloneへの旅/後編|先行訳への挑戦
おわりに

■書誌情報
『シェイクスピア 私はこう訳してきた 悲劇篇』
著者:松岡和子
価格:2,420円(税込)
発売日:9月17日
出版社:筑摩書房

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