松樹凛が第79回日本推理作家協会賞・短編部門受賞 創元SF短編賞出身者は3年連続の受賞に

松樹凛が第79回日本推理作家協会賞を受賞

 松樹凛の短編「ぼくらが夕闇を埋めた場所」(双葉社「小説推理」2025年1月号掲載)が、第79回日本推理作家協会賞の短編部門を受賞した。

 日本推理作家協会賞は、その年に発表されたミステリーの中で最も優れた作品に与えられる文学賞。今回の短編部門で受賞した「ぼくらが夕闇を埋めた場所」は、表題作とした単行本『ぼくらが夕闇を埋めた場所』が、2026年9月に双葉社より刊行される。

 受賞作は、町を離れる最後の日にクラスメイトの星野さんから〈水なし沼〉に呼び出された“ぼく”が、「穴を掘ってほしいの」という彼女の依頼の真意をめぐってゲームを繰り広げる物語である。

 著者の松樹凛は1990年生まれ。2020年に〈飛ぶ教室〉第51回作品募集で佳作入選し、21年に「ペンを取ってくれませんか?」で第8回日経星新一賞優秀賞、同年「射手座の香る夏」で第12回創元SF短編賞を受賞。24年には受賞作を表題にした短編集を刊行している。

 また、今回の受賞にあわせて、東京創元社より松樹のデビュー短編集『射手座の香る夏』の文庫版が6月29日に発売されることも発表された。

 創元SF短編賞出身の作家による日本推理作家協会賞短編部門の受賞は、第77回を「ディオニソス計画」で受賞した宮内悠介(坂崎かおると同時受賞)、第78回を「黒い安息の日々」で受賞した久永実木彦に続き3年連続となる。

 『射手座の香る夏』は“夏”を舞台とする四編の青春SF作品で構成されており、時間SFの枠組みを用いた収録作「十五までは神のうち」は、タイムトラベル技術を応用することで、「自分が生まれてこなかった世界」を選ぶ〈巻き戻し〉の権利が認められた日本を舞台に物語が展開し、緻密なプロットと読了後の余韻から注目を集めた。文庫版の解説は飛浩隆が担当する。

 なお、第79回日本推理作家協会賞の各部門の受賞作は以下のとおり(敬称略)。長編および連作短編集部門は伏尾美紀『百年の時効』(幻冬舎)、評論・研究部門は千野帽子『青ひげ夫人と秘密の部屋 「見たな」の文学史』(光文社)、翻訳部門はスチュアート・タートン著/三角和代訳『世界の終わりの最後の殺人』(文藝春秋)が選出された。

■書誌情報
『ぼくらが夕闇を埋めた場所』
著者:松樹凛
発売日:2026年9月
出版社:双葉社

『射手座の香る夏』(文庫版)
著者:松樹凛
解説:飛浩隆
定価:1,012円(税込)
発売日:2026年6月29日
出版社:東京創元社
レーベル:創元SF文庫

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