山﨑賢人、裸相撲で肉体美を披露! “実写化王子”が『ゴールデンカムイ』で魅せた色気

山﨑賢人の裸相撲と肉体美に注目!

蟻も遠慮した…シリーズ第1作初登場場面の意図とは?

 1904年2月、日本軍がロシア軍太平洋艦隊の基地がある旅順に奇襲攻撃を仕掛け、日露戦争が始まった。日本軍は、激戦地となった203髙地を攻略した。山﨑賢人主演の実写化映画シリーズ第1作『ゴールデンカムイ』(2024)は、この戦闘場面から始まる。

 戦場全体を俯瞰するカメラが舞い降り、塹壕に身を隠す主人公・杉元佐一(山﨑賢人)の顔まで寄る。カメラワークに合わせるように、杉元は後ろに引っ込めていた右手を前に出し、指先を這う蟻を口に入れる。原作では1コマ目に蟻の大写しがあり、2コマ目に杉元の顔のアップが描かれている。このモンタージュが戦場の緊迫感をコマ中に漲らせているのだが、映画では蟻のアップはない。カメラが寄った後、杉元が口元まで運んできたものが蟻なのか、よく目を凝らして見ないとわからない。

 日本を代表する実写化スター俳優である山﨑の初登場場面とあって、さすがに蟻も遠慮したのか……。それは冗談としても、ここでは蟻と山﨑を切り返すカット割りにしたくなかったのは確かだ。塹壕にいる杉元が蟻をすぐに吐き出し、「すっぱい」と言う台詞を発するまでの間、一連の流れをワンショットに収めたい意図があったように思うからだ。

山﨑賢人が演じる幾重もの安心感

 台詞の一言一句も原作に忠実に再現するため、山﨑は台詞をポンと置くように、フラットなトーンを心がけていた。あらゆる実写化映画はもうとにかく山﨑賢人の職人技に任せておけば安心。そう思わせる台詞回しだった。さらに山﨑演じる杉元は、戦場で敵の玉が当たろうが、銃剣で刺されようが、ぴんぴんしている。クリント・イーストウッドやトム・クルーズなど、ハリウッドのアクション映画俳優と同じように、絶対にやられない安心感が揺るぎない。

 一つひとつの台詞、その息づかい、表情、戦場や雪中を走り抜ける佇まい、存在感など、あらゆる要素を総合して作り上げる、「不死身の杉元」像には、山﨑賢人が演じる幾重もの安心感が宿っている。そうした安心要素にはもちろん、ビジュアルの要素も含まれ、負傷と回復の連戦を物語るエキセントリックなスカーフェイスも、山﨑の顔には不思議と溶け込む。超人的な回復能力と鋼の肉体を誇る、傷だらけの雄々しい身体もそうで、俳優が生身の肉体を通じて再現することに実写化作品の醍醐味はある。

 一方、観客にとっては、スクリーン上にその再現度を期待することが実写化作品を観る醍醐味となる。野田サトルによる原作屈指の名場面ともなれば、それがどんな画面として描かれるのか、なおさら期待感は高まる。実写化第1作目の映画とその続編ドラマ『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』(WOWOW、2024)合わせて11巻までの内容が描かれてきたが、公開中の最新作『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』(2026、以下、『網走監獄襲撃編』)は12巻冒頭(第115話)の人気場面「ラッコ鍋」の映像化を見事に成功させ、実写化俳優・山﨑賢人の魅力を際立たせている。

歴戦の実写化俳優の顔を照らす“栄光のかがり火”

 映画冒頭の場面は、1907年の釧路。前作同様、俯瞰のカメラが舞い降り、海面にぷかぷか浮かぶラッコの情景を捉える。アイヌの軍資金である莫大な金塊を探し求める旅の一行は、海辺でハマナスの実を食べて空腹をしのいでいた。でもやっぱり肉が食べたい。タイミングよく手に入ったラッコの肉でラッコ鍋を作るのだが、これがくせ者料理だった。「うーん臭みはあるが味は悪くない」と食レポする杉元の目にはなぜか、鍋を一緒に囲む男たちが無性に色っぽく映り始め……。

 ラッコ鍋は「男女同数」で食べなければならないとされている。ラッコの肉が煮えるニオイが欲情を促すからだ。「がまんできねえ」と言った杉元が、シャツを脱ぎ捨てズボンをガバッと下ろす。そして「相撲しようぜ」と提案。身が火照る、裸の男たちの汗と熱気が画面上に漲る。翌朝、情欲の夜を過ごしたはずの男たちがすっきりした顔で衣服をまとい、浜辺で再集合する場面には程よく色っぽい余韻が感じられる。

 浜辺で目的地を定める話し合い中、杉元の後ろ髪が海風に靡く。これがまた色っぽく、男たちの裸を画面上にさらに導く呼び水となる。場面は変わり、温泉宿。相撲疲れを癒すかのように男たちが月夜の露天風呂で身体を温める。そこに刺客。状況を確認するため、杉元はランプを持つ。明かりが照らす肉体美、ランプを支える腕からしたたる水滴…。裸から裸へ場面は展開するが、これは単なるサービスショットではない。重要なのは部分的な照明に照らされると途端に、山﨑賢人は色っぽくなるということだ。

 山﨑が「実写化王子」と呼ばれていた2016年、主演映画『オオカミ少女と黒王子』ではソファに寝そべる山﨑を何とも官能的な照明がサッと表情を染めていた。この記憶が確かなら、同作の廣木隆一監督と本作の片桐健滋監督が師弟関係にあることが画面上で通じる。本作のクライマックスとなる監獄襲撃場面で、床下を這う杉元の顔を手元の蝋燭の明かりが照らす。それは歴戦の実写化俳優を照らす“栄光のかがり火”ではないかと思う。

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