『ONE PIECE』シャンクスの行動の矛盾点とは? 過去のマリージョア移住の真意を考察

 「週刊少年ジャンプ」2026年1号に掲載された『ONE PIECE』第1167話にて、人気キャラクターであるシャンクスの驚くべき過去が明かされた。彼には、天竜人としてマリージョアで過ごした期間があったのだ。

 兄弟であるシャムロック聖の横に並び、父であるガーリング聖とも会話をしていたシャンクス聖。彼は、なぜ天竜人となりマリージョアへと移り住んだのか。今回はワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。

「シンプルに、シャンクスが天竜人になり神の従刃として活動していた事実に驚きました。これまでも世界政府と関係があることは示唆されていましたが、まさか神の従刃にまでなっていたとは……。当時は天竜人らしく一般人を見下した発言をしていたシャンクスですが、やはり彼が本心からそういう発言をしていたとは思えないですよね。実際、現在の時間軸から14年前にシャンクスはマリージョアから失踪していて、その1年後にヒトヒトの実モデル“ニカ”を奪い、ルフィとも出会っています。もしスパイとして天竜人となりマリージョアに忍び込んでいたのだとしたら、目的はやっぱりヒトヒトの実の情報を得るためではないでしょうか。シャンクスは、ラフテルから帰還したロジャーから何かを聞いていました。泣いていたので他の情報もあった可能性もありますが、そこで出生の秘密であったり世界の闇、さらにヒトヒトの実のことなどの重要な話を聞いたのかもしれません」

 ただ、シャンクスが世界政府に潜入していた場合、気になる点があると神木氏は続ける。

「気になるのは、もしシャンクスが海賊の立場でスパイとして天竜人になっていたとしたら、これまでの世界政府側の反応に矛盾が生じることです。五老星との関係が匂わされたり、センゴクから一目置かれていたり、シャンクスは世界政府側とパイプがあることが示唆されていました。それが長年囁かれていた『シャンクス天竜人の家系説』の根拠になっていたんですけど、実際はマリージョアから失踪したようなので、そうであれば裏切り者として世界政府から敵認定されているはずですよね。ヒトヒトの実を奪っているのもあって、目の敵にされてもおかしくありません。でも、彼はいまだに世界政府とパイプを持っているようにもみえる。世界政府からするとただの裏切り者ではないようで、まだまだシャンクスと世界政府の関係には大きな謎があります」

 マリージョアにて攻撃的な言葉を吐くシャンクスの顔には、ある違和感があった。

「マリージョアにてシャムロックと話していたシャンクスは、左目に包帯を巻いていました。この包帯は今でも傷跡が残っている、黒ひげにやられた怪我によるモノでしょう。つまり、黒ひげとの戦闘の直後にシャンクスは天竜人になったことになります。デービー一族である黒ひげも世界の秘密に大きく関わる存在。敵ではありながら、黒ひげはシャンクスに戦いのなかで重要な事実を明かしたのかなと思います」

 「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を狙うシャンクスだが、彼が見ているのはより大局なのかもしれない。

「現在のシャンクスは、ワンピースを「奪りに行こうか」と宣言し行動しています。でも個人的には、シャンクスは自分がワンピースを手に入れ、海賊王になることだけを考えているわけではないと思うんですよね。シャンクスの「奪りに行こうか」は自分だけではなく、世界政府と敵対するすべての勢力をまとめて考えている気がします。シャンクスは自分ではなくて、ルフィがワンピースを手に入れてもいいと感じているのではないでしょうか。そう考えると、四皇であるシャンクスがルフィの前に立ちはだかる未来が訪れない可能性も、全然あるのかもしれません」

 シャンクスは『ONE PIECE』第一話から登場している、人気キャラクターであり重要キャラクターだ。彼の動向の真意が明かされるときを、心待ちにする。

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