【漫画】夫はたまにアニメの仕事をするヒモ? たしかな幸せの形を描く『はぴねすゆれない』

会社員の妻とアニメーターの夫の他愛もない日常を描いた漫画『はぴねすゆれない』が、pixivに投稿されている。作者は藤井古今さん(@tf_web)。藤井俊郎名義でTVアニメ『スーパーカブ』や『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』の監督を務めている、多彩なクリエイターだ。
彼によれば、本作は「半分エッセイのような作品」だという。社会との価値観のズレやユニークな夫婦関係を表現した、この漫画の制作背景を聞いた。
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――pixivに上げた手応えは?
藤井古今(以下、藤井):漫画作品としては2作目なのですが、コメントもたくさんいただけて想像以上の反響でした。世間との価値観のズレや働き方など生々しい部分もある内容なので、自分と重ねて読んでくれた方が多かったのかもしれません。反対に「全然理解できない」という方の意見も興味深かったです。
――これは「半分エッセイ作品」とのことですが、プー太とアコはご自分とパートナーをモデルに?
藤井:そうですね。漫画として脚色もしていますが、自分と妻の日常から拾ったエピソードが多いです。こういうネタは事欠かないし面白いと思ってメモはしていたんですよ。
それを企画書的なプロットにまとめて、担当してもらっている出版社の編集さんに提案したのが制作のきっかけです。読んだ妻自身は「好きにやったらいいんじゃない?」という感じのリアクションでしたね(笑)。世間の価値観からは少しズレた生活スタイルかもしれないけど、そんな僕に付き合ってくれるのでとっても感謝しています。
――実際に藤井さんはアニメも制作されているのでしょうか。
藤井:仕事としてはアニメーター(原画マン)がメインですが、漫画とアニメは隣り合う山脈のようなジャンルだし、通底する部分は遠くはないと考えています。誰かの原作をお借りするのか、自分で初めから創作していくのかなどの違いはあるけど、どちらも別ベクトルの面白さがあります。
――制作に当たって意識されたことは?
藤井:制作を進める中で、ただのエッセイ作品というよりは「世間に対して何か投げかけるものがあった方がいいよね」という方向になり、「夢を追っているプー太」や「子供がいないアコ」に対する社会的な外圧などの脚色を入れました。人生のなかで社会の価値観に捕らわれるもどかしさは自分も感じていたので、漫画に落とし込めそうだなと。
――タイトルもキャッチーで素敵でしたが、これについては。
藤井:些細なことでギスギスしてしまう瞬間もあっても、僕ら夫婦はお酒を飲んだら忘れるし「特別なことがある訳ではなくても、毎日楽しくて幸せだね」みたいな生活なので、揺らがない幸せという想いを込めてつけました。
――作画面についても教えてほしいです。
藤井:正直そこまでこだわりがないので、作品のテイストに合わせて絵柄は決めています。アニメの仕事でも内容に合わせて幼児向けからアート寄りなものまで、どんな絵でも描きますし。
ただエッセイで劇画タッチにしても仕方がないじゃないですか(笑)。だから今回は描き込みすぎないシンプルな絵にしようと決めた感じです。
――料理の場面も美味しそうでした。
藤井:料理や家事は自分の担当で家庭菜園も実際にやっているんですよ。漫画の通り、ほとんど主夫ですね。とはいえ今の暮らしを一生続けたいとも思ってないし、色々な漫画を描きたいし、好きなアニメ作品には積極的に携わりたいと思ってます。
























