【漫画】満員電車で痴漢騒動、真相を突き止めたのはクセ強の老人……? 『老紳士探偵と尻手線痴漢事件の巻』

――こちらは加筆修正されたバージョンということですが、具体的にどのようにブラッシュアップされたのでしょう。
午前ごご(以下、午前):本作をSNSに投稿したところ、多くの反響をもらうと同時に痴漢冤罪を扱ったことに対する非難の声や、急に真犯人が出てきて戸惑っている意見を多く見ました。自分にとっては「ただ笑ってほしい」マンガなのでストーリーがわかりづらく、笑いにつながらないのが惜しいなと。そこでキャラクターの幅を持たせつつ、ストーリーの説明不足を補うページを描き足しました。笑いどころも増やせたのではないかと思います。
――本作の着想について教えてください。
午前:推理マンガに挑戦したかったのが最初です。最後のオチはくだらないけれど、そこに行き着く過程でキャラクターが真剣に推理して、試行錯誤してたどり着く形が面白いなと考えてアイデアを膨らませていきました。
――痴漢の冤罪をテーマにされた理由も気になります。
午前:社会的なメッセージがあるわけではなく、「推理が成立しやすい題材」として選びました。推理マンガでは容疑者や動機、状況が読者にすぐ伝わることが重要だと思っています。その点、満員電車という舞台設定は「容疑者が多い」「人間関係は他人同士でシンプル」「状況説明が少なくて済む」という条件が揃っていて扱いやすいなと。
――物語展開はどのように考えていますか?
午前:物語展開については、オチが最初に決まって、そこから逆算で辻褄を合わせていくという作り方でした。トリックの部分には細かな穴はいくつかあると思いますが、主人公が「ポンコツ探偵」なので、そこは目をつぶっていただけると嬉しいです。
――ユーモアの入れ方についても狙いがあったり?
午前:笑いに関しては、最後の真犯人が出てくるところが全てで、そこでウケるかどうかという一発勝負。少しでも緩急を付けられるように、推理の部分ではできるだけ真面目な雰囲気を大切にし、緊迫感を高めたいと思って描きました。
――産みの苦しみなどのエピソードもありましたらお願いします。
午前:制作過程で大変だったのは、キャラクターデザインですね。いかにもスリをしそうな女、痴漢もしそうだしスリの被害者にもなりそうな男、一発で「コイツが犯人だ」と思わせられる犯人。
読んでいる人が違和感なく読み進めていけるように、でも説明をしすぎるとテンポが悪くなるので、絵で説得力を持たせたいと思い、試行錯誤しました。特に犯人のデザインはかなり難航した記憶があります。
――作画で意識した点はどこでしょう?
午前:舞台が満員電車なので大変でした。電車の中の配置図も考えて、48人のキャラクターを作ったんです。どのキャラクターも目立ちすぎるとノイズになって邪魔になる一方で、遊び心も大事だと思い頑張ってデザインしました。変な見た目のキャラはできるだけ遠くに置いて、物語の重要な場面では出てこないようにバランスを調整しています。
――普段イメージを膨らませるために心がけている習慣や趣味などはありますか。
午前:浮かんだアイデアは普段から携帯のメモ帳に記録していますね。漫画の設定やキャラクターの名前、ダジャレなど、思いついたものは何でも記録しています。自分の場合、メモ帳を見返した時にはじめてイメージが膨らんでくることが多々あるので、アイデアを寝かしておくことを大切にしています。メモ帳に記録してから数年後に、やっと形になった漫画もありますよ。
――今後の展望などがあれば最後に教えてください。
午前:今後も読切漫画をたくさん描いていきたいです。その中で力を付けて、自信が付いたら、連載にも挑戦してみたいと思っています。一番は楽しく長く漫画を描き続けていきたいです。そして、読んでくれる人が少しでもクスッと笑えるような作品を届けられたら嬉しいです。






















