映画『国宝』だけじゃない! 歌舞伎に落語、伝統芸能の世界を描く名作漫画3選

伝統芸能の世界にどっぷり浸れる漫画3選

■雲田はるこ『昭和元禄落語心中』(講談社)

雲田はるこ『昭和元禄落語心中』(講談社)

 雲田はるこが『ITAN』(講談社)で2010年から2016年まで連載していた『昭和元禄落語心中』は、落語を題材とした漫画。ただし現代を舞台としている『あかね噺』と違って、描かれるのは主に昭和の落語界だ。

 主人公の与太郎は元チンピラで、刑務所に服役していたが、その慰問会で昭和最後の大名人・八雲が披露した「死神」に感動。出所すると真っ先に八雲のもとに向かい、弟子入りを志願する。八雲は一生弟子をとらず、落語と“心中”すると言っていたにもかかわらず、なぜか与太郎を受け入れる……というのが、物語の始まりだ。

 作中では与太郎が落語家としての道を歩む姿が描かれる一方、八雲を主人公とした過去編も挿入され、落語に人生を変えられた人々のドラマが浮かび上がる。さらに落語の黄金期とされている時代や、テレビや漫才ブームに押されて衰退を迎えていく時代など、落語界の移り変わりを立体的に映し出しているところも同作の魅力と言えるだろう。

 なお同作はメディアミックスも盛んに行われており、TVアニメ化や実写ドラマ化のほか、ミュージカル化もされた。また8月24日より、実写ドラマの再放送が実施される予定となっている。

 映画『国宝』が旋風を起こしている2025年の夏。漫画を入り口に、日本独自の伝統芸能に触れてみてはいかがだろうか。

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