【漫画】コミュ障でもチームスポーツはできますか? JKバスケ青春グラフィティ『ハナバス 苔石花江のバスケ論』

【漫画】コミュ障でもバスケはできますか?


――本作をXに投稿された経緯から教えてください。

三好宏平(以下、三好):第1巻が発売される際、宣伝の一環として投稿しました。最初に投稿したら自分のアカウントがシャドウバンされていることが発覚して、伸びずに大変でした。でもそこから徐々に伸びていって、結果的に色々な反響をいただきました。

――印象的な感想はありました?

三好:プレイヤーでないと気づかないような細かな動きに反応してくださった方がいて、それは印象的でした。わかる人にはわかるんだなと。

――三好さん自身もバスケットボールに思い入れがあるのでしょうか。

三好:たまたま続けていた、というだけなのですが自分自身もポイントガードのポジションでバスケをやっているんです。実際にプレイするのも描くのも得意という訳ではないのですが……。

――ということはバスケ漫画を手掛けるのは自然なことだったと?

三好:本作を描く前はギャグやバトル漫画など色々描いていたんですけど、企画会議などでネームが通らないことも多かったんです。

 でも界隈でよく言われる「案外、自分が今までやってきたことを描いたら上手くいく」を実践したら、本当に連載に繋がりました。

――そのなかでも女子スポーツをテーマにした理由は?

三好:もう男子バスケは『SLAM DUNK』が金字塔すぎるのが大きいですね。だから「女子バスケならこれだ!」という作品を描けたらと思ったんです。

――コミュ障だけど洞察に優れたキャラを主人公にした理由も気になります。

三好:自分もコミュ障気味にバスケを続けてきた経緯があり、それを主人公に投影させた形ですね。

 あとはそういう人って細かいところにも気が付くじゃないですか。だからこそ他人の言動を気にするのかなと。でもそれだけだとわかりづらいかなと思い、生物観察の趣味も設定として入れました。

――主人公・苔石花江ちゃんはコミュ障らしくコミュニケーションが錯綜してしまう前半部分から、後半は1 on 1がじっくりと描かれますね。

三好:僕自身もお笑いが好きなんですよ。今考えるとギャグパートが長すぎたかなとも思うんですけど、そういう要素も盛り込んでいます。

 コミュ障は自分の名前の発音も危ういということで、どもったら「こけし」になる苗字はないかなと思って「苔石」という名前にしました。

――バスケシーンについては?

三好:プレイヤーとしての僕自身は1 on 1がそこまで得意ではなかったですし、パスが出せて点が取れる存在にもなれなかったので、そんな主人公は自分の憧れが少なからずあります。

 描けば描くほどプレイの細かい部分に自分が気付けて、自分もできるかなと思うのですが、実際はそう上手くいきませんね。やはり認識と動作はまた違うなと。

――実際に取材なども行かれたりしたのでしょうか。

三好:東京大会のベスト4の試合を観に行って、現場の空気感や応援の様子なども肌で感じることができました。最近はYouTubeなどの動画で強豪校がどんな練習をしているのかもチェックしています。

 そのなかで女子バスケは男子に比べてチームプレイが多いと感じました。『SLAM DUNK』でもハンドサインからの連携描写がありますが、グーチョキパーの3択くらいの男子の世界にくらべて「2-5」や「5-3」など5の二乗くらいパターンがあるみたいなんですよ。とにかく同時に動く人数が多い。

――となると、「バスケットボールはチームスポーツですから」という冒頭は大切だなと感じます。

三好:はい。一番大切だと思ったことを最初に描いておきました。

――作画についてはいかがですか。

三好:試合中の選手の姿勢ですね。ディフェンス時の手の高さ、猫背ではなくてお尻を下げた形になるだとか。週刊連載は時間との勝負で、こだわりたくても難しいことが多いんですけどね。

 イラストレーター時代は「描くのが早い」と言われていたんですよ。でも、ひたすら絵を入れるのは大変。途方に暮れている暇があったら手を動かそうと思っています。

――今後『ハナバス 苔石花江のバスケ論』はどう描いていきます?

三好:主人公のバスケ部が全国大会を目指していくので、その成長とプレイをカッコよく描いていきたいですね。友達がほしい苔石の人間関係にもフォーカスしていければ。「女子バスケといえば『ハナバス』だよね」という作品にしていけたら嬉しいです。

■『ハナバス 苔石花江のバスケ論』は「マガポケ」で連載中:https://pocket.shonenmagazine.com/title/02674/episode/407983

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