日向坂46 富田鈴花「生まれ変わっても、また自分が良い」葛藤を乗り越えた先で気づいたこと

日向坂46 富田鈴花 1st写真集インタビュー

「違う誰かになりたい」グループ加入後の葛藤

日向坂46 富田鈴花

ーー写真においても言えることですが、自分自身がどう見られているかって、自分の認識とはズレていたりするものですよね。

富田:確かに、私もそう感じることがあります。

ーー過去のブログには富田さんが加入直後は「違う誰かになりたい」と思っていたと綴られていましたが、ファンの立場から見ると、富田さんは初期の頃からキャラクターが確立していた印象がありました。多くのアイドルが自分のキャラが定着しないことに苦労しているので、富田さんがそんな苦悩を抱えていたことに驚いたのですが…その世間的な見え方とご自身が抱える苦悩とのギャップには、どのように感じていましたか?

富田:グループで活動していると、「誰かが何か言わなきゃ」とか「誰かが前に出なきゃ」と感じる場面がすごく多いんですよね。そんな時に、誰かが発言するのを待つより自分が言っちゃったほうが早いなと思うことがあって、そんな気持ちがあって自分から動くことが多くて。それがバラエティ番組でも、自然と表れていたのかなって思います。

 オードリーの若林(正恭)さんが「富田は進行の邪魔をすればそれで良い」と言ってくださったことで生まれたポジションも、狙ったわけではなく、いつの間にか自然にできていったんだと思います。

 でも本当の私は周りを見ながら動くタイプではなくて、一人で考えるのが好きなんです。だから皆さんから見えている部分と、私自身が思っている自分との間には差を感じながら活動していました。

日向坂46 富田鈴花

ーー「キャラができていたから前に出られた」のではなくて、「出るしかなかった」というのが始まりだったんですね。

富田:そうですね、それが一歩目だったと思います。でも「切り込み隊長だね」って言ってくださる方が多くて、それは嬉しかったですし、自分でもやる気は人一倍あると思うので。

 ただ、その状況を作ってくれたのは、隣にいるメンバーたちのキャラクターによって生まれたものでもあったので。結果的には「これが自分なんだろうな」と今では思います。

ーー「違う誰かになりたい」と思っていたということは、“アイドルの理想像”みたいなものがあったのでしょうか?

富田:はい。私は(元櫻坂46の)渡辺梨加さんのような「そこにいるだけで癒しになる存在」という、いわゆる“THE・アイドル”にすごく憧れていました。でも自分は絶対にそうはなれないなって。そのもどかしさはオーディションを受けてる時点で、既に感じていました。

ーーどうやって、その葛藤を乗り越えたんですか?

富田:活動を続けていく中で、個人のお仕事もいただけるようになって、どんな瞬間に自分が「好き」や「楽しい」と感じるか、明確になってきたんです。

 ある時期から、それまでとは違って、「すべてを100%で頑張る」ことが求められる時期ではなくなってきたような感じがして。番組でも、プレイヤー側でいる方が実は楽だったんですけど、後輩も入ってきてくれたおかげで、MCや審査員のような役割を任せていただくことが増えてきたんです。そうやっていろんな役割を経験することで、少しずつ自分の立ち位置や、得意なことが分かってきて。

 その結果、自分の中で「ここで頑張りたい!」という場所が定まって、そこにまっすぐ向かえるようになった自分が、今はすごく好きで、自分のことを認められています。今ではもう、生まれ変わっても「自分がいいな」と思います。

ーー富田さんが「ここなら頑張れる」と思えたのは、具体的にどんなところでしたか?

富田:自分にとって大きなきっかけは『ラヴィット!』(TBS系)にレギュラー出演させていただいたことです。水曜メンバーのみなさんが「すーじー、すーじー」と呼んでくださって、一緒にロケに行ったのもすごく楽しい思い出ばかり。そういうバラエティ番組で楽しんでいる自分は好きだなって、実感しました。

「自分にしかできないことを見つけたい」見つけた自分だけのポジション

日向坂46 富田鈴花

ーー富田さんは「自己プロデュース能力に長けたメンバー」だと思っていました。例えば、写真集のタイトルでもある『鈴花サーキット』も、「高速道路が好き」「車が好き」というエピソードトークをきっかけに首都高速道路のCMに出演したり、マイカー購入をYouTubeチャンネルのコンテンツにしていて、それが今ではモータースポーツ番組のMCに抜擢されるまでに。ただ、今のお話しを聞くに、それは計算の上ではなかった?

富田:本当に全くの想定外で、自分でも驚いています。こんなに車に関わるお仕事をいただけるなんて、思っていませんでした。

 私はグループ内でも、伸び悩んでいた時期が特に長かったメンバーだと思っていて。だからこそ誰よりも「自分にしかできないことを見つけたい」と思って、ずっと模索していました。そうして頑張っていると、少しずつ色んなお仕事に繋がっていったんですよね。今では全部無駄じゃなかったんだなって、思えます。

ーーこれからはソロでの活動になりますが、グループにいた頃はメンバーとの関係性の中で“自分の役割”を意識して動くことも多かったと思います。そうした環境から離れて、個人として自分らしさをどのように表現していこうと考えていますか?

富田:正直に言えば、全く見えてないことが多くて、これから進むのは茨の道だと思っています。

 ただグループ活動と変わらないことは、「いただいた仕事に対して、自分の100%以上で取り組む」という姿勢だと思っていて。そこを変わらず続けていれば、道が見えてくると思っています。

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