【漫画】“猫はこたつで丸くなる”とは限らない? 極道 × 野良猫の笑えて泣ける物語『オヤジとにゃん吉』 

【漫画】猫×極道のハートフル漫画

作者は猫アレルギー?

ーー『オヤジとにゃん吉』をXに投稿した際、反応はどうでしたか?

片倉頼(以下、片倉):実は投稿して最初の1年は、ほとんど音沙汰がなかったんですよね(笑)。「見つけてもらえないのかな……」と思いつつもひたすら投稿し続けていたら、1年ほどしてようやく少し反応をいただけて。そこから徐々に知ってもらえるようになりました。

ーーそうだったんですね。ちなみに、どのお話がきっかけで反応があったのでしょうか。

片倉:単行本の1巻に収録されている、「アジ争奪戦」という話です。警察官とオヤジの松方のすれ違いを楽しんでいただけたのかなと。

ーーやはり、本作は猫好きの読者を中心に反響があるのでしょうか?

片倉:そうですね。でもたまに、犬好きの方や、猫が苦手という方からも「見てます」と言っていただけることがあるんです。優しい声をたくさんいただけて嬉しいです。

ーー片倉先生も、猫を飼っているのでしょうか?

片倉:私、実は猫アレルギーでして……(笑)。

ーーそうなんですか!?

片倉:完全に憧れだけで描いています(笑)。担当の編集者さんが猫を飼っていて、いつも参考にさせてもらっているんです。先輩や友人にも色々聞かせてもらったり、あとはYouTubeとかSNSで猫の動画などを見まくって研究していますね。

 もともと私は犬派だったんです。でも大人になって、私の好きな人たちが猫を飼い始めたんです。猫に振り回されながらもすごく幸せそうにしているのを見て、だんだん自分のなかで猫の印象が変わってきて、気がつくと猫動画を見漁っていました(笑)

ーー無事に猫の沼にハマっていったんですね。ここからは本作のキャラクターについても聞いていきたいのですが、物語の主人公であり、振り回される存在の“松方”はどのようにして生まれたのでしょうか。

片倉:もともとヤクザと猫という設定は、以前参加した「サンデーバトル8」という企画のテーマだったんです。『オヤジとにゃん吉』は、その設定をそのまま膨らませて描いています。松方のモデルは、私が仲良くさせていただいている漫画家の先輩なんです。その人はすごくクールなんですけど、猫を飼うことになってからすごく変わったんですよね。なんというか……恵比寿顔をするようになって(笑)。「人ってこんなに変わるんだ」と、衝撃だったんです。ちょっとクールな人が乱れる、崩れるところはすごく魅力的で可愛いなと思い、そのイメージで松方が出来上がっていきました。

ーーそして、そんな松方を振り回す“にゃん吉”なのですが、なんとも言えない表情が魅力ですよね。

片倉:ありがとうございます! 実は、「可愛いのかよくわからない」というコメントもあって(笑)。私としては自分の中の“理想の猫”として描いていたので、「意外とズレていたのか……!?」と思いましたね(笑)。ちなみに、最初は「マンチカンとタヌキのハーフ」という設定でした(笑)

 にゃん吉は……あまり人間っぽくなりすぎないようにしています。にゃん吉はどこまでも猫で、松方がどう思っているかはわかってもにゃん吉がどう思っているのかはわからない。にゃん吉の感情を確定しないようにというのはすごく意識しています。

ーー松方とにゃん吉は、“元ヤクザの親分と野良猫”という、ある意味孤独な者同士だと思うのですが、片倉先生としてはこの関係性をどう考えていますか?

片倉:そうですね。とくに松方はにゃん吉と出会ったことで、自分らしい感情表現をするようになったんじゃないかなと思います。いままでは、組長として全うしなければいけない。などの、“役割”を務めなければいけない人生だったと思うんです。でもそんなことはにゃん吉には関係なくて、だから松方も素直に気持ちを出してしまう。つい子どもっぽくなってしまう。そういう時間が増えたのかなと思います。

ーー今回ピックアップさせていただいた「野良猫と元極道が過ごしたとある冬の話。」では、どういったところにこだわりましたか?

片倉:普通猫ってこたつに入るイメージがあると思うのですが、にゃん吉は入らないところですね(笑)。編集者さんいわく、猫って意外とこたつに入らないみたいで。意外な生態を知って「面白い!」と思い、描きました。

ーー最後のにゃん吉の表情も最高ですね。

片倉:「にゃん吉って犬だったんだ」って声もいただきました(笑)。我ながらキマってる顔が描けたなと思っています!

■『オヤジとにゃん吉』は「サンデーうぇぶり」で連載中:https://www.sunday-webry.com/episode/316190247048059185

■コミックス①~④巻絶賛発売中!

『オヤジとにゃん吉』(片倉頼/小学館)

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる