高校球児=坊主はもう古い? バカリズムも絶賛『ベー革』は令和の球児&指導者の“新たなバイブル”に

モデルとなった広島県・武田高校の実績
実際、この作品の根幹にある“革命的指導法”は、現実の教育現場にもモデルが存在する。広島県の武田高校では、乙坂監督の手法に酷似した方針がすでに取り入れられ、平日50分練習を軸に、科学的トレーニングを導入する「フィジカル革命」によって、短時間で最大成果を生み出す効率的な練習が実践されているのだ。
武田高校は結果も出している。2019年には谷岡楓太投手がオリックスから育成ドラフト2位で指名され、同校初のプロ野球選手となった。さらに2020年の夏の広島大会では、初のベスト4進出を果たしている。こうした実績は、「ベー革」に描かれる指導法が決して絵空事ではなく、現実に機能し得る「選択肢」の一つであることを示している。
「重要なのは練習量じゃない。練習の質なんだよ。じゃあ、質とはなにか? 考えて、実行して、結果に繋げる。これが質だ」
「頭を使ってねー奴ほど反復したがる。そんなバカは故障するまでやってりゃいい。いいか?アタマを使え。アタマを鍛えろ」
「オマエらはまず『ありえない』と思うことをやめろ。そいつは一番成長を妨げる病原菌だ」
こうした乙坂監督の名言の数々は教育論としても秀逸だ。知性と実践が融合した新たなスポーツ漫画の金字塔になるポテンシャルは十分。野球好きだけでなく、「努力とは何か?」を問い直したいすべての人に読んでほしい一作である。






















