元広告プロデューサー・富川岳の遠野移住記『シシになる。』 巻末には『海獣の子供』五十嵐大介の描き下ろし

都内の広告会社でプロデューサーとして勤務した後、遠野市に移住し、文化振興活動に取り組むことで近年注目を集めている富川岳の新刊『シシになる。 遠野異界探訪記』(亜紀書房)が、6月23日に発売された。
著者の富川岳は、都内の広告会社に営業・プロデューサーとして勤務した後、2016年に岩手県遠野市へ移住。株式会社富川屋代表、遠野市観光協会理事を務める。100年以上前に柳田国男が記録した『遠野物語』に戦慄して以来、民俗学をベースとした様々な創作活動や文化振興を行う。著書に『本当にはじめての遠野物語』(遠野出版)、『異界と共に生きる』(生活綴方出版部)がある。
本書は、東京で広告代理店に勤めていた著者が、遠野の地に導かれるように移住し、そこで出会った人々や風土、そして「シシ踊り」と呼ばれる郷土芸能を通して異界とつながる過程を綴ったノンフィクション。遠野に息づく妖怪や山人、天狗、ザシキワラシといった「この世ならざるもの」たちの気配と共に生きる日常を描き出している。
シシとは何か、人はなぜシシになるのか。牛の角、龍の鼻、鹿の目を持つ霊獣の面をかぶり、鎮魂のために舞われる郷土芸能「シシ踊り」を中心に、民俗、芸能、死生観が交錯する物語が展開される。
巻末には『リトル・フォレスト』『海獣の子供』などで知られる漫画家・五十嵐大介による特別描き下ろし漫画「ダガイコ ダンヅゴ」も収録。また、解題と用語解説は九州産業大学准教授の桜井祐が担当し、読者の理解を深める内容となっている。
民俗学の聖地・遠野から放たれる、新時代の探訪記に注目だ。
■書誌情報
『シシになる。——遠野異界探訪記』
著者:富川 岳
価格:2,530円(税込)
発売日:2025年6月23日
出版社:亜紀書房























