【漫画試し読み】最強の凸凹バディを見よ! 人気ファンタジーのコミカライズ『小さな魔女と野良犬騎士』が胸を打つ

『小さな魔女と野良犬騎士』を試し読み

 異世界を舞台に活躍する凸凹な二人が魅力的なファンタジー小説『小さな魔女と野良犬騎士』がコミカライズされ、コミックサイト「ヒーローコミックス」で連載中だ。古今東西、創作のさまざまなジャンルで愛されてきた「バディ」モノの最新系で、タイトルの通り、愛らしくも悲しみを背負った“小さな魔女”と、一見ぶっきらぼうだが人情に厚い“野良犬騎士”の関係性が楽しく、また胸を打つ物語だ。

 水神の加護に抱かれた水と大河の国エンフィール王国。その王都に暮らす青年アルトが、かつて騎士として戦場を駆けていたのも今は昔、現在はその日暮らしの風来坊。金なし地位なし甲斐性なし、仲間内からは野良犬騎士と呼ばれていた。そんなある日、アルトがスラム街で誘拐されかけた少女ロザリンを助ける。少女は右目に"ウイッチクラフト"と呼ばれる特別な力を宿し、「小さな魔女」と呼ばれていた。彼女は生き別れとなった母親を探す為に王都へやってきたのだった。アルトはロザリンの母親探しを手伝うことになるが、そこには想像を超えた展開が待っていた――。

 リアルサウンドブックでは、原作者の麻倉英理也先生と、作画を手がける倉野ユーイチ先生のインタビューを実施。シリアスとコメディの両面から魅力的なバディの活躍が楽しめる本作について、じっくり語ってもらった。

『小さな魔女と野良犬騎士』第1話を読むには画像をクリック

『小さな魔女と野良犬騎士』麻倉先生&倉野先生インタビュー

ーー『小さな魔女と野良犬騎士』はタイトルにも象徴されているとおり、アルト&ロザリンの凸凹バディの年齢、性格、境遇、能力など、ギャップとそのバランスが魅力的です。「母親探し」に端を発したドラマもシリアスあり、コミカルな部分もあり原作は読み応えがありますが、この物語がどう生まれたのか、着想のきっかけから教えてください。

麻倉:私は昔から時代劇が好きで、ファンタジーの世界観で時代劇のような物語を描きたいと思ったことがきっかけでした。世界中を旅するのではなく、一つの街で生活する素性は知れないが腕っぷしの強い主人公が、義理人情に重きを置きながら、様々な事件に巻き込まれたり首を突っ込んだりするというコンセプトの元、小さな魔女と野良犬騎士が作られました。同時に私が好む時代劇はシリアス一辺倒ではなくコミカルな場面も多かったので、その辺りも参考とさせて頂いています。そこから大人にアルトでは描けない部分として、成長や挫折など未熟な部分と、魔女というファンタジー要素をロザリンに預けることで、二人のバランスの良い関係性が生まれたのだと思います。

ーーコミカライズを手掛けるにあたり、倉野先生は『小さな魔女と野良犬騎士』という物語についてどんな印象を持ちましたか。

倉野:どこか懐かしいような、「コレコレ!こういうのが見たかったんだよ!」と思わず叫んでしまった作品です。

ーーコミカルでテンポのいい日常シーン、シリアスな展開に、エンフィール王国の美しい風景と、読みやすくメリハリのある作画が魅力的です。アルト·ロザリンをはじめとするキャラクターもそれぞれ生き生きと描かれていますが、作画についてはどんなことを意識していますか。

倉野:原作の魅力の一つである会話を、意味合いを崩さずにどうコンパクトに漫画に落とし込むかを意識しています。漫画は小説と違って描ける事が限られてくるので、そこは毎話頭をフル回転させてます。あとやはりロザリンやもう一人のヒロイン、カトレアの顔は可愛く描けるように一番気合入れてます。

ーー麻倉先生はそんな倉野先生の作画についてどう受け止めていますか。

麻倉:率直にとてもキャラと世界観共に魅力的に描いていただけていると思います。文章でしかなかった場面を、ここまで再現度高く作画して貰えると、自分の頭の中を覗かれているような、妙な気恥ずかしさもありましたね。アルトもカッコいいだけでなく色気があって、表情に乏しい設定のロザリンも動き付くとここまで感情が伝わってくるのかと驚きました。個人的にですが倉野先生がお書きになるカトレアは特に可愛らしく、彼女のチャームポイントである胸をちゃんと小さく描かれていて、先生は信用できる方と確信できました(笑)。

ーーぶっきらぼうに見えて面倒見がよく、能力の高い人情家であるアルトと、健気で思慮深く、悲しみを背負ったロザリン。本作の魅力はなんといってもこの二人の関係だと思いますが、おふたりはアルト·タニアというキャラクターをどう捉えていますか。

麻倉:アルトは過去の様々な経験から悪い言い方をすれば利己的な考えが強い人物です。判断基準は全て自分がやるかやらないかで、理屈や常識で相手に理解を求めない真似はしません。ただ、根っ子がどうしても善人だったりお人よしだったりするので、言動と行動が一致しないツンデレキャラみたいになっています。ロザリンは好奇心と知識欲の塊。世間から隔絶された森の中で暮らしていたので、他人との関わり合いが薄く、喜怒哀楽を出す機会が少なかった為、アルト達との出会いと王都での生活で大きく成長していく、彼女の成長物語だと思っています。

倉野:親子ではなく、恋愛関係でもない、絶妙な距離感が魅力的だなと思います。アルト側に全く下心が感じられなくて、そこがかっこよくて好感が持てますね。ロザリンもそんなアルトを信用しているように見えます。

ーーお気に入りのキャラクター/描いていて楽しいキャラクターをあえて一人挙げるとしたら?

麻倉:ラヴィアンローズがお気に入りです。特に会話シーンが書いていて楽しく、普通はちゃんとキャッチボールになるよう台詞を考えるのですが、ラヴィアンローズの場合はどれだけ言い回しが装飾過多で大袈裟でも成立するので、何処まで台詞を盛れるか何時も楽しく書かせて頂いています。

倉野:アルト、ロザリンの凸凹コンビは勿論、出てくるキャラクター全員魅力的なのですが、特に描いていて楽しいのが、ラヴィアンローズという殺し屋です。お嬢様言葉·狂人·巨乳の要素盛り盛りの最強剣士です。

ーーこれから漫画版『小さな魔女と野良犬騎士』の第一話に触れる読者に対して、一言メッセージをお願いします。

麻倉:小さな魔女と野良犬騎士はアルトとロザリンが二人で一つの主人公となる物語です。まだ何者でもない二人が出会い、水の都でどのような経験を積んでいくのは是非とも見守って頂きたいです。なによりも倉野先生が描く世界は美しくキャラクターはみんな魅力的ですので、今後の展開を含めて私と一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。

倉野:かっこつけるべき所で(いい意味で)とことんかっこつける、剣戟と魔法のバトルファンタジー、ぜひお楽しみください!

『小さな魔女と野良犬騎士』
作品URL:https://www.infos.inc/fandom/comic/hero07/

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