『コナン』『響け!ユーフォニアム』……名作漫画に描かれた日本有数の“聖地”「琵琶湖疏水」が国宝指定に

琵琶湖疏水の建造物は無料で見られる国宝

■近代の土木施設の金字塔

  5月16日、琵琶湖から京都に水を運ぶために建設された「琵琶湖疏水施設」を国宝に指定される見込みだとの報道がなされた。他にも岡本太郎によってデザインされ、1970年の大阪万博の象徴になった「太陽の塔」など8件の建造物を重要文化財に指定するよう文化審議会が答申した。秋ごろに正式に国宝・重要文化財に指定される見込みである。

  さて、琵琶湖疏水は明治中期に建設されたトンネルや運河、水路橋などから構成される。文化審議会は、明治日本における都市基盤施設の金字塔と高く評価し、明治時代の土木構造物では初の国宝となる。なかでも、赤煉瓦のアーチ型が美しい南禅寺水路閣は紅葉の名所として知られる。

 さて、琵琶湖疏水は単なる土木構造物ではなく、それぞれのトンネルや橋に優れたデザインが施され、美しい。そのため、京都の名所の一つとして多くのアニメや漫画に登場している。そのうち、南禅寺水路閣は歴史ある寺院の境内に赤煉瓦の橋があるインパクトゆえに、クリエイターの感性を刺激しているようだ。

■京アニの名作や『コナン』映画にも登場

琵琶湖疏水の水路橋水

  京都アニメーションが製作したアニメには京都や大津の風景が登場する作品が多いが、作中の風景に琵琶湖疏水が効果的に使われ、聖地巡礼スポットとなっている。なかでも『けいおん!』第1期のオープニングには南禅寺水路閣が登場。平沢唯ら「放課後ティータイム」のメンバーが赤煉瓦のアーチとともに描かれ、印象的な画面を作っている。

  また、水路閣は望月麻衣による同名のミステリー小説をアニメ化した『京都寺町三条のホームズ』にも登場。第5話で、家頭清貴と梶原秋人が南禅寺を訪れた場面で描かれた。水路閣のほかには重要文化財の三門など、南禅寺の境内にある歴史的建造物が緻密に描写されている。

蹴上インクライン (photolibrary)

  京アニのアニメ『響け!ユーフォニアム』第2期のオープニングには、琵琶湖疏水を構成する蹴上のインクラインが登場する。インクラインとは傾斜鉄道のことである。琵琶湖疏水は京都と大津間で船の輸送も行っていたが、京都の蹴上周辺は高低差があったため船の往来が難しかった。そこで、斜面に線路を敷き、台車に船を載せて上下させる手法が取られた。

廃線となったが、線路は今でも現存する(photolibrary)

  蹴上のインクラインの線路の全長は約582mにも達し、こちらも国宝に指定される。インクラインはほかにも、森見登美彦による同名の小説をアニメ化した『四畳半神話大系』や、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第7作目となる『名探偵コナン 迷宮の十字路』にも登場。『コナン』では、インクラインの線路の上をコナンと服部平次とコナンが歩く場面がある。既に廃線になっているので、観光客も実際に歩くことが可能だ。

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