建築家・隈研吾が監修の絵本が発売 ものづくりへの想いが詰まったメッセージも収録

隈研吾の絵本『けんちくってたのしい!』

世界的建築家・隈研吾の“ものづくり”への想いが詰まった初のストーリー絵本『けんちくってたのしい! たてものとそざいのぼうけん』(KADOKAWA)が、4月9日に発売された。

隈研吾は1954年生まれ。1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立し、現在は東京大学特別教授・名誉教授として活躍。国内外50を超える国で建築プロジェクトを手がけるほか、著書も多数出版している。

絵と文を手がけたたつみなつこは、武蔵野美術大学卒業後、デザイナーとして活動を開始。フリーランスのイラストレーターとして、書籍装丁やパッケージイラストをはじめ、多岐にわたる分野で活躍しており、本作が絵本作家デビューとなる。

本書は、工作が大好きな小学生2人が、ふしぎな猫に導かれながら隈研吾氏とともに世界中の建築を巡る冒険を描いた絵本である。監修は隈研吾、絵と文は本作が絵本デビュー作となるイラストレーター・たつみなつこが担当している。

物語の中には、隈氏が建築において大切にしている「素材」との向き合い方、建築哲学のエッセンスが随所にちりばめられており、単なる児童向けの絵本にとどまらない奥深さを持つ。たつみ氏が実際に現地を訪れ、隈氏の話を直接聞きながら制作されたことで、建築物の描写は細部に至るまでリアルかつ魅力的に描かれている。

絵本に登場する建築物は、梼原町立図書館(高知県)、COEDA HOUSE(静岡県)、角川武蔵野ミュージアム(埼玉県)、国立競技場(東京都)、グルベンキアン美術館(ポルトガル)、V&A Dundee(イギリス)、UCCA陶美術館(中国)など国内外の名建築が並ぶ。大阪・関西万博で注目を集める「EARTH MART」も登場し、子どもたちの好奇心を刺激する構成となっている。

刊行にあたっては、元建築学生でもあるアンガールズの田中卓志氏が推薦コメントを寄せており、「自然と建築物を繋いできた隈さんが、子ども達と建築物をつなぐ。そして自由な発想を伸ばしてくれる素敵な絵本。君の中にある自由な発想で、いつか隈さんを驚かせよう!」と語っている。

発売前に行われたモニター試読では、「実物を見に行きたくなった」「息子が素材への興味を持った」「マインクラフトで新しい建物を作りたがった」といった感想が多く寄せられ、子どもたちの創造力や観察力を刺激する内容であることが明らかとなった。さらに、「身近にある素材から建物を作る」という視点が、子どもたちの世界観を広げるきっかけにもなっているという。

本書の巻末には、隈研吾氏から子どもたちへの特別なメッセージも収録。「思うようにつくれなくたっていい」と語りかけるその言葉には、幼少期に積み木に夢中になった自身の記憶、そして“自由に創造すること”の楽しさと大切さが込められている。

なお、本書の発売を記念し、ところざわサクラタウン内ダ・ヴィンチストアにて「絵本でめぐる隈研吾建築 『けんちくってたのしい!』発売記念原画展」が、2025年4月9日(水)から5月6日(火)まで開催されている。展示では絵本に登場した建築物の原画に加え、書籍に収録されなかった幻の原画も公開。子どもはもちろん、大人も楽しめる内容となっており、“建築ってたのしい!”という感覚をそのまま体感できる。

書誌情報

書名:けんちくってたのしい! たてものとそざいのぼうけん
監修:隈研吾
絵・文:たつみなつこ
定価:1,980円(本体1,800円+税)
発売日:2025年4月9日(水)
仕様:A4判/オールカラー/40頁
ISBN:978-4-04-115882-1
発行:株式会社KADOKAWA

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