子育てインフルエンサー・木下ゆーきに聞く、歯みがきを楽しくする方法「子どもがワクワクするものに見立ててあげて」


育児の大変さを爆笑動画に変える子育てインフルエンサー・木下ゆーきが、ついに絵本シリーズを創刊! 第1弾は、多くの家庭で苦戦している子どもの歯みがきをテーマにした『はぶらしロケット』(4月17日発売)だ。
発売前のモニターでは、なんと97%のパパママから「効果を実感した」と喜ぶ声が届いたそう。実際に子育てする中で発見した「歯みがきの時間を楽しくする」仕掛けが満載の『はぶらしロケット』。
今回はその制作秘話から読み聞かせのポイントについてインタビュー。日々頑張っているパパママたちに寄り添い、そして笑顔を届けようという木下ゆーきならではの絵本シリーズの展開がますます楽しみになった。
「はぶらしロケット=楽しいのが始まると刷り込まれたら、こっちのもん」

――『はぶらしロケット』は、どのようにして生まれのでしょうか?
木下ゆーき(以下、木下):もともとうちの子どもたちもいつも歯みがきを嫌がっていて、毎日プロレスのように足で押さえながらなんとかやっていました。そうしているうちに、ある日歯ブラシをロケットに見立ててプシューっと飛ばしてみたんです。「あれ? お口の中に入るかな? 入らないかな?」とやってみせると子どもたちが面白がって歯ブラシを口の中に入れようとしたんですよね。その経験をもとに『はぶらしロケット』という絵本を作ることにしたんです。

――絵本の創刊を発表されて、どのような反響が寄せられましたか?
木下:SNSで絵本の内容が少しわかるようにお知らせしたところ、その投稿を見た方々から「実際に試してみたら一発でうまくいった」「子どもが喜んで歯みがきをしてくれた」というコメントがたくさん届きました。歯みがきで大変な思いをしているパパやママの助けになったらと願っていたので、その通りになってすごく嬉しかったです。
――実は、我が家にも2歳児がいまして。毎日歯みがきで大変な思いをしていたんですが『はぶらしロケット』を見せたところ、今では「はぶらしロケットするー」とニコニコです。本当にありがとうございます! ロケットに見立てたのも何か理由があったのでしょうか?
木下:お役に立ててよかったです! 正直、ロケットである必要ってたぶんなくて。歯ブラシが口の中に入るかな、どうかな……という流れだけでも全然いいと思うんです。けれど、やっぱり入口として、少しでも子どもがワクワクするものに見立ててあげたほうが、親しみが湧くと思ったんですよね。そのくらいの年齢の子って乗り物が好きなので、まずはロケットにしてみようと思いつきました。また、ハイタッチなら喜んでやるという子も多いので、手をパチンとタッチしたらはぶらしロケットが発射するというアトラクション感を出してみたらどうかなと考えたんです。
――日常の作業だった歯みがきが、パパママと遊ぶご褒美タイムのようになっていますよね。
木下:もう「はぶらしロケット」と言うだけで、「楽しいのが始まる!」と子どものなかに刷り込まれたらこっちのもんです(笑)。これまではSNSの配信などで「我が家ではこういうふうにやっていますよ」と、パパやママに向かって説明をしていたんですが、今回こうやって絵本になることで子どもたちにもダイレクトにそのイメージが伝わると思うんですよね。親がやりたいと思っていることが、子どもにも浸透していることで、もっとスムーズになるんじゃないかなと。効果をすぐに体感できるのはきっとイヤイヤ期くらいのお子さんかと思いますが、赤ちゃんのときから読み聞かせて刷り込んでおくというのもおすすめです!
――動画やライブ配信などと比べて、絵本という形にすることの難しさはありましたか?
木下:よりたくさんの方の手元に届き、そして残るということを考えると、今まで意識していなかった部分にまで気を配らなければならないなと感じました。たとえば、『はぶらしロケット』では、前半にほっぺなどに不時着する展開があるんですが、我が家でやるときなんかは、歯ブラシの柄の部分を口の中に入れようとして、子どもから「逆〜!」ってツッコまれて笑いが生まれることもあるんですよね。ほかにも、僕の頭に不時着させて「お父ちゃんの頭イテテテ〜」なんてボケてみたり、「飛んでっちゃった〜」と遠くに飛ばしちゃったり。そんなふうに子どもが喜ぶならいくらでもパターンを変えて繰り返すんですけど、絵本で何度も不時着の場面を見せるのも「テンポが悪くなりそうだな」とか「これ、衛生面的にどう?」となりまして……そのラインを見極めるのが難しいなと思いました。なので絵本では、まず誰もが真似できる基本の形を目指すことに。その先のアレンジは、それぞれのご家庭で楽しんでいただけたらと思います。

「みなさんと同じように苦戦して、爆発して、苦し紛れに生まれた技です」
――イラストは『シナぷしゅ』(テレビ東京)でもおなじみのuwabamiさんが担当されていますね。
木下:uwabamiさんとは今回「はじめまして」だったんですが、お互い小さい子を育てている者同士、すぐに意気投合して(笑)。
――打ち合わせを経て、木下さんのこだわりがつまったイラストはありますか?
木下:はぶらしロケットが口の中に入ったとき、たくさんのバイキンたちがパーティーをしているのを発見するページのイラストです。バイキン一人ひとり、いろんな動きをしているんですけど、「こういう子を入れてみよう」「ここにいる子にはこれをさせてみよう」とリクエストをして、uwabamiさんに描いていただきました。
イラストにそうした細かな作り込みがあると、子どもに読み聞かせたときにも「この子は何をしている?」「どんな歌を歌っているかな?」「どの子が好き? せーので指さしてみようか」なんて遊びにも使えるんですよね。
あと、個人的には親が見ても楽しいほうがいいなと思っていて。パーティーのシーンで口説いているバイキンのカップルがいるんですけど、あとのページで関係がちょっと進展しているっていう(笑)。きっと子どもは見てもわからないけれど、大人がちょっとだけニヤッとできるっていうような仕掛けも入れました。

――ぜひ手にとって見つけていただきたいですね(笑)。うちの2歳児は、このイラストを見て初めて自分の口の中が汚れているということに気づいた感じがありました。「そうだよ、だからキレイにするんだよ」と説明することができました。
木下:そうなんですよね。大人にとっては「何かを食べる→口の中が汚れる→歯を磨いてキレイにする」というのはもう当たり前すぎる流れで、子どもの頭の中でつながっていないことに気付けなかったりするんですよ。
歯をみがくの中にも、「歯ブラシを口の中に入れる→口を開けておく→親に磨いてもらう」というホップ・ステップ・ジャンプがある。その飛ばしていた工程をわかってもらえると、すんなり進んでくれることもあると思います。
もし、このイラストに食いついたのであれば、子どもの口の中をのぞきながら「あれ、タンバリン叩いてるバイキンがいた!」「こっちには、温泉入ってるバイキンも見えたよ!」なんて言ってもらえると、口を開けてくれる時間が延びると思います。実は、今回そんなふうに読み聞かせのポイントというか、コツみたいなものをまとめたパパママ向けのマニュアルページもこっそり入れてあるので参考にしてください!

――はぁ〜! 本当に次々と出てくるアイデアに感動しっぱなしです。
木下:いえいえ、それだけ悪戦苦闘したってことなんですよ! 僕も、いつも楽しく子育てをしているわけではなく、子どもにイライラしてつい声を荒げてしまうこともあるんです。子どもの寝顔を見ながら「なんであんなふうに言っちゃったのかな」なんて、自分を責める夜も幾度となく過ごしてきました。
でも、イヤイヤ期でごはんをなかなか食べてくれないとき。「もう食べなくていい!」なんて感情を爆発させて怒っても、「うわーん!」って泣かれて余計に時間がかかってしまうと思うんです。なので、そういうとき、苦し紛れに「大盛りのご飯と小盛りのご飯どっち食べる?」みたいに、ご飯の食べ方にちょっと遊びのテイストを入れてみると、意外とすんなり食べてくれたことがあって。一見、遠回り見える道がスムーズにゴールにたどり着けたみたいな。大回りな高速道路があるんだっていうのに気づいてから、このスタイルが生まれたように思います。
いつも「木下ゆーきさんのところは楽しく子育てしていていいな」なんてコメントもいただくんですが、僕もみなさんと同じように苦戦して、爆発して、苦し紛れに生まれた技なんです(笑)。だって、本当に爆発しているときには動画を撮っている余裕すらないですから!