【漫画】昭和な父親はみんな「毒親」? 日々弱っていく父との関係が心に効く『父を怒らせたい』

【漫画】昭和な父親はみんな「毒親」?


――着想を教えてください。

おかくーこ:私自身も父親をガンで亡くしていて、その看取りを手伝ったんです。その時に人が死んでいくのって大変だなと。それを漫画に描けたらと思ったのが着想です。

 最初はもう少しエッセイ風で考えていたんですよ。でもそのままだと面白くないのでは…ということで担当編集さんと話し合っている中で、「介護をしながら父が怒らなくなったのが寂しかった」と私が言ったことを担当編集さんが面白いと思ってくださり、それを1話目にしましょうということで今の形にまとまりました。

――死や介護、父への複雑な気持ちを描きつつも柔らかい雰囲気に仕上げているのも特徴でした。

おかくーこ:テーマが重いので、なるべく柔らかくしようとはしましたね。医師と雑談したり、親子の談笑シーンを入れたり。あとはもともとの絵柄が柔らかいので、暗くても多少は読みやすいのではないかなと思います。見開きを3つと、その他にも見せゴマをいくつか入れて、絵的にも楽しい1話になるよう心がけました。

――物語はどのように考えられたのでしょう。

おかくーこ:介護を通じて変わっていく父と娘の関係を主に描きつつ、昭和の父のことや、在宅看取りのことなども入れたいなと思いながら作りました。大嫌いな父をどうやったら許せるのか、どうやったら父を怒らせることができるのか、などを担当編集さんと何時間も話し合いながら作りました。

――漫画を描きながら父親の気持ちを理解できた部分もありました?

おかくーこ:父親の怒りや飲酒の裏側に、弱さや仕事でのストレスなどの不安な気持ちがあったんだなという発見もありました。外では見せない、子どもな面を家族に見せていたのだなと。

――キャラクターデザインも家族を参考にしている?

おかくーこ:基本的にそうです。父は酒飲みで怒りっぽい、母は大雑把で明るいです。ただ主人公はダメな部分は似ていますが、そこまで自分ぽくはないですね。私にはできないことも彼女ならやってくれるだろう、と思えるようなキャラクターとして作りました。父を怒らせるということ自体も、自分だったら無理な行動です。

――ちなみに本作を連載されている「ビッグコミックオリジナル」は読者層の平均が60代と言われていますが、雑誌のカラーは意識しました?

おかくーこ:連載が始まる前は雑誌のカラーについてかなり気にしていたのですが、担当編集さんが「そんなのは全く気にする必要はないので、好きにやってください」と何度も言ってくださったので気にせず描くことにしました。20代の娘視点で描いている作品なので父親の年代の方はどう読むのだろうと不安に思っていたのですが、年代関係なく子供目線で共感してくださる方も父親目線で共感してくださる方もいて、嬉しいです。

――この先『父を怒らせたい』はどう描いていきます?

おかくーこ:既にストーリーが自分の構想と全然変わってしまったんですよ。だから今後どうなっていくのかは決まっていませんし、もしかしたら、「怒らせられない」というエンディングすらもありえます(笑)。でも最後にはタイトル通り、父を怒らせられたら。

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