【漫画】少女はなぜ幽霊部員になった? 部活動のあるある描く『ロックなんか弾いてやんない』に共感

【漫画】少女はなぜ幽霊部員になった?

「日本のどこかにこんな子たちいるかも」

――今回『ロックなんか弾いてやんない』を制作した経緯は?

もりさわ:一次創作の同人誌即売会「コミティア」で頒布する用の、ロック漫画合同誌の執筆のお誘いをいただいたのがキッカケです。当時は、今連載中の楽器屋さんを題材にした漫画『ReTune~あなたの人生チューニングします~』(ぶんか社)を描くためにライブハウスにこまめに足を運んでいました。

――ロック熱が高まっている時でのお誘いだったのですね。

もりさわ:そうですね。バンドメンバーさんと話をするうちに感銘を受け、マイエレキギターを購入して練習するほど惚れ込んでいたタイミングでした。そんな時にお誘いいただいたので即決で引き受けました。

――なぜ軽音楽部に所属する女性をメインにしたのですか?

もりさわ:実はこれは実話ベースの物語です。当時中学生だった息子が吹奏楽部に所属していたのですが、部員との不仲もあり上手く馴染むことができず、同じように悩んでいた友達に「一緒にサボろう」と誘われてその子の家の前で時間を潰していたらしいです。(笑)

――本当に実話ベースですね。

もりさわ:はい。私が「なぜ家の中に入らないの?」と聞くと、友達の兄は吹奏楽部の元エースで、親も部活に熱心なタイプ。「ズル休みなんて許さない!」ということで、家に入れてもらえなかったそうです。その情景を想像すると不憫に思い、それと同時に「共感を呼ぶドラマが生まれそうだな」と予感もしていて今回作品にしました。

――2人の掛け合いは方言だからこその可愛らしさを感じました。

もりさわ:私の故郷が広島県なので広島弁を使いました。派手な展開もない会話劇なので、肩肘張らずに自然にセリフが流れるように地元の言葉で喋ってもらいました。特に意図した演出ではなかったですが、結果的に「日本のどこかにこんな子たちいるかも?」みたいなリアル感が出せたと思っています。

くるり『ばらの花』を選んだ理由

――緩やかな作画が魅力でしたが、作画でこだわった部分は?

もりさわ:2人は自分専用のギターとベースを持っているし、「家はきっと裕福だろう」「それなら駐車されている車は外国車かな」など、想像しながら楽しく作画を仕上げていきました。あと、それぞれのケースにお揃いの猫マスコットがついてるので注目してほしいです。(笑)

――ちなみにセッションした曲にくるりの『ばらの花』を選んだ理由は?

もりさわ:くるりが大好きで、仕事中もよく聴いています。何年も前に日比谷野音でライブに行った時、特に感銘を受けた曲が『ばらの花』です。高層ビル群にギターの音が反響して、身体が宙に浮くような心地になりました。

――誰かとクリエイティブな活動をすることの楽しさを示す内容でした。改めて本作を通してどのようなメッセージを感じ取ってほしいですか?

もりさわ:軽音部や吹奏楽部など、部活は大勢でひとつの曲を作り上げるため、光が当たる人と影の人がどうしても出てきてしまう。(影の人は)正直テンション下がりますよね。自分も音楽は未経験だけど演劇部だったので気持ちはすごくわかります。

――影の人は楽しみにくいとは言えますよね。

もりさわ:それでも「好き」と感じた気持ちを大切にしてほしいと思っています。ユミの「いつでも弾きたくなったら戻ってき」の台詞にはそんな思いをこめました。強要せずに時には休んで。やりたくなったらやればいい。楽しくなければ意味がないですから。

――最後に今後の目標など教えてください。

もりさわ:現在『ReTune~あなたの人生チューニングします~』という漫画の連載中です。中古楽器屋を営む、楽器の声を聴くことができる女の子のヒューマンドラマです。また、同時進行で映画化も決定していて現在岡山で撮影中です。まずは漫画を読んでもらえると嬉しいです!

◼︎『Re-Tune ~あなたの人生チューニングします~』映画化情報:https://twitter.com/comic_tanto/status/1886717719397195870?s=46&t=IF6yjPwzy6tFs4D_t88AYw

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