山本健吉『ことばの歳時記』、宮内庁の発表を受けて一万部の緊急重版決定
12月23日に宮内庁より公開された上皇上皇后両陛下のご近況のなかで、山本健吉『ことばの歳時記』をおふたりが交互に音読なさっているとの発表があったことを受け、株式会社KADOKAWAが同書・角川ソフィア文庫版の1万部緊急重版を決定した。
著者の山本健吉(1907年~1988年)は、古典から現代文学まで幅広い評論活動で知られる文芸評論家で、歳時記編纂の第一人者として、1983年に文化勲章を受章した。
『ことばの歳時記』は、「春一番」「新緑」「息白し」など、春夏秋冬と新年を彩る季節のことばの数々を、名句や名歌の引用とともにしたしみやすい文体で紹介した一冊。角川ソフィア文庫版は2016年に刊行され、名著として版を重ねてきた。宮内庁からの発表を受けて書店注文が相次ぎ、これに対応するため1万部の重版を決定。追加の重版も検討中だという。
■「上皇陛下のご近況について(お誕生日に際し)」12月23日発表より抜粋
早朝のご散策はもとより,差し支えのない日曜日には朝7時から上皇后さまと東御苑に行かれ,二の丸庭園,本丸を回られています。両陛下は,平成の早い時期から,ご朝食後お忙しいご日程が始まる前の短時間,お二人ご一緒に一冊の本を交互に音読されることを習慣とされてきましたが,今もお続けになっています。長い間大岡信さんの「折々のうた」を読まれ,また,パスカルの「パンセ」など外国の書物もお読みになってこられましたが,現在は山本健吉さんの「ことばの歳時記」がお机に置かれています。(https://www.kunaicho.go.jp/news/jyokogo-birth-r011223.html)
■書誌情報
角川ソフィア文庫『ことばの歳時記』
著者:山本健吉
定価:880円(本体)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321608000173/
■著者略歴
山本健吉:1907年生、1988年没。長崎生まれ。本名、石橋貞吉。父は評論家・小説家の石橋忍月。慶應義塾大学国文科卒。改造社に入社、「俳句研究」の編集に携わる。文芸評論家として古典から現代文学に至るまで幅広い評論活動で知られる。『芭蕉』で新潮社文学賞および日本芸術院賞、『古典と現代文学』で読売文学賞、『いのちとかたち』で野間文芸賞を受賞。1969年、日本芸術院会員。1983年、文化勲章受章。『俳句鑑賞歳時記』、『俳句とは何か』(共に角川ソフィア文庫)、『基本季語五〇〇選』(講談社学術文庫)など著書・編著多数。