米クランチロール社、北米で日本漫画配信サービス開始へ MANGA総合研究所所長が予測する海外展開の好影響

アメリカでアニメ配信などを手掛けるクランチロール社が、北米の有料会員向けのマンガアプリ「Crunchyroll Manga」を発表した。日本の新旧含めた人気の漫画作品を集めたアプリで、2025年後半にサービスが開始される予定だ。
近年海外(北米)にて、アニメ・ゲームなど日本国産コンテンツが盛り上がりを見せているのは周知のことだろう。そんな中、今回のニュースは日本の漫画の海外進出においてどのような影響があるのか。一般社団法人MANGA総合研究所 所長/マスケット合同会社代表の菊池健氏に話を聞いた。
電子コミック世界進出への節目に
「今回の件は、海外の電子コミック事情が一歩大きく進む、一つの節目になったと思います。クランチロール社は過去にも何度か漫画のデジタル配信にチャレンジしているのですが、毎回版権を獲得することができず、基本的に現地(北米)ユーザーの自主投稿サイト的な位置付けのサービスに終始してきました。
これまでもAmazonなどの総合書店では漫画単行本のデジタル配信をしていましたが、あくまでも紙の書籍の流通のついでにデジタル版も売っているような感じでした」(菊池氏)
集英社「MANGA Plus by SHUEISHA」や講談社「K MANGA」など、出版社各社は独自で海外販路を広げてきたが、いくつかアメリカに進出している日本国産の電子書店は「まだ総合書店とは呼べない規模の作品しか取り扱っていないのが現状」だそうだ。
「近年、日本の漫画の海外売り上げは(特に北米など)紙の書籍が2倍3倍……と一線を超えていると言われるレベルで好調でした。しかしこれがデジタルだとなかなか進まないという問題がありました。
今回大手であるクランチロール社が参入するとなると、今度こそ今まで北米の書店に出てこなかったような日本における主要な作品が、専門漫画サイトに出てくるのではないかという期待があります」 (菊池氏)