【漫画試し読み】読者に衝撃与え続ける『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』 作者に聞く“戦慄の親友サスペンス”の誕生秘話
絶望的ないじめの日々から解放してくれた“親友”に、もし別の顔があるとしたらーー。「別冊ヤングチャンピオン」で連載中の『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』(原作:蔵人幸明/漫画:榊原宗々)は、目を背けたくなるシーンも多いが読み始めると止まらない、人間の本質に迫る骨太な“親友サスペンス”だ。
リアルサウンドブックでは、同作を手がける蔵人幸明先生と榊原宗々先生にインタビューを敢行。読者に衝撃を与え続けている本作が生まれた経緯や、見どころについてじっくり話を聞いた。
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『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』蔵人先生&榊原先生インタビュー
ーー『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』は、正義/悪、正気/狂気の境界で揺れ動く、濃密な人間ドラマだと思います。最初にこの物語がどう生まれたのか、連載に至る経緯や着想のきっかけも含めて教えてください。
蔵人:最初のきっかけとしてはとにかくサスペンスを作りたいというところからで、テーマとしては「恋人のような友情」というのも考えていました。初期プロットでは主人公二人がすでに付き合っている設定でしたが、それは行きすぎた感があったのでボツにしました。
ーー漫画として表現するにあたって、榊原先生は『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』という物語をどう捉えましたか。
榊原:作画のお話を頂いた時には一言でいうと「地獄」の話かと思っていました。
ーー『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』も傑作ですが、美しくもショッキングな作画に引き込まれます。どんなポイントを意識して描かれていますか。
榊原:特別な意識というものは特にありませんが、いろいろな表情が描けたらいいなぁの気持ちで描いています。美形が気持ち悪く笑ったり、泣いてるのかどうなのかわからない微妙な表情も描けたら楽しいなと。ショッキングなシーンはあまりしつこさを出さないようにはしています。そうでない場面とどうしても力の入れ方が違ってしまうので……。
ーー蔵人先生も自身で漫画を描かれますが、そんな榊原先生の作画についてはどう受け止めていますか。
蔵人:榊原先生の絵は全て満足いく素晴らしいものですが、特に人間味が滲み出た表情などは最高だと思います!
ーー第一話でフックになっていて素晴らしいと思ったのが「深夜ラジオ」というモチーフです。ある種の秘密の共有という意味で一気に深い関係を築き得るもので、学生時代を考えるとリアリティがあり、また後々アメリの人心掌握の力にも唸らされるところです。なぜラジオをピックアップされたのでしょうか。
蔵人:主人公の優馬は友達も少なく内気な人間なので、ひとりで楽しめるツールとしてラジオが適していると思いました。ネタが採用されて密かに喜ぶというのもキャラに合っているかなと。
ーー藤倉について聞かせてください。典型的ないじめられっ子と思いきや、面白いことを考えるのが好きで、正義感が強く潜在的に勇気も持っていて、皮肉なことにアメリの狂気に触れるなかで、成長していく面もあるキャラクターだと思います。お二人は藤倉というキャラクターをどう捉えていますか。
蔵人:藤倉優馬は一見、真面目で大人しい人間ですが、彼もまた普通の社会には適応できず身近な人間に従い、流される性格なので描く方としても配慮を必要としています。
榊原:いくら助けてくれたとはいえアメリにもっと恐怖してもいいはずなのに割とすんなり受け入れているところに少し怖さも感じていて、個人的には一番ハラハラするキャラクターです。今後が心配です。
ーーここからネタバレ注意になりますが、アメリというキャラクターについても聞かせてください。ヒーローからダークヒーローになり、謎を深めながら、DV彼氏的に藤倉を依存させていくアメリは、「怖いけれどあまりに魅力的」なキャラクターですね。
蔵人:アメリは一途で不器用な人だと感じます。それに育った環境で歪んだかと思いきや、生まれ持っての××な人……という感じで、優馬と出会わなかった世界を想像すると怖くなりますね。
榊原:悲しいほどに自己中心的な子だと思いました。沈着冷静のように見えるけど怒り等の感情が抑えられない瞬間もある、所謂完璧な人間ではないところにリアルさを感じて愛おしいです。
ーーあえて一人、好きなキャラクターを挙げるとしたら?
蔵人:好きなキャラクターはやはりアメリですかね。榊原先生の描くアメリが美しいので。
榊原:横田さん(or西野くん)です。手前味噌ですが良い表情するなぁと思います。
ーー前日譚も絶賛連載中で、『じゃあ君』の世界は広がり続け、ファンも増え続けています。これから第一話を読むサスペンス作品好きの読者に、一言ずつメッセージをお願いいたします。
蔵人:本編、前日譚のどちらから読んでいただいても楽しめるようになっているので、ぜひ1話だけでも読んでいただきたいです。両方とも人間関係にこだわって書いておりますので、お楽しみいただけるかと。どうぞよろしくお願いします!
榊原:あまり調べないで読んでもらった方がより楽しめるかもしれません…!ご興味あればよろしくお願いいたします。
『じゃあ、君の代わりに殺そうか?』
https://youngchampion.jp/series/a381452a40593