『【推しの子】』アイ、『マイホームヒーロー』零花……齋藤飛鳥“事件巻き込まれ系ヒロイン”になぜ選ばれる?

【推しの子】アクアとルビーの絆を振り返る

可憐なルックスと毒舌のギャップ シリアスな作品をポップに魅せる

 「4000年に1人の美少女」「神に選ばれし美少女」。整った顔立ちと清純派な雰囲気のルックスを持つ斎藤は、アイドル時代度々こうした呼ばれ方をしていた。しかし、斎藤は『推しの子』アイ役では、東京ドーム公演当日にファンに刺殺され、『マイホームヒーロー』では、父親に半グレの彼氏を殺され自身も知らぬ間に事件に巻き込まれたり、最終的には殺人犯の父親と警察官として対峙したりというクセの強い役を演じている。

 こうした背景にあるのは、彼女の正統派美少女のルックスと、彼女をトップアイドルに押し上げた“毒舌キャラ”や、インタビューなどで垣間見えるクールなリアリストぶりに大きなギャップがあるからだ。

 実際、実写版『【推しの子】』のワールドプレミアに登場した斎藤は、本作のオファーをやりたくないという理由で一度断った旨を取材で公にしていた。大人の事情なども加味すると、オファーを断った理由を濁し説明を回避することもできただろう。しかし、「マスコミの皆さんには少しPOPに書いてほしい」と断りを入れた上で淡々に経緯を説明する彼女から感じたのは、優等生すぎないシニカルさとネガティブな情報を深刻に感じさせず伝えられるセンスだ。

 「嘘つきの眼」を持ち、最終的にファンから殺害される『【推しの子】』アイ、殺人犯で半グレ組織から追われる父と共犯者の母と生活を共にしながら徐々に真相に近づいていく『マイホームヒーロー』の零花。可憐なルックスを持ちながら、死や暴力描写ありきの作品の中で“悲劇のヒロイン”ではない立ち回りができるのもまた、女優・齋藤飛鳥の魅力なのかもしれない。

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