『HUNTER×HUNTER』ビヨンド=ネテロは本当に悪人? 王位継承戦での謎めいた企みを考察

ビヨンドは善人なのか、悪人なのか……

  それではビヨンドの計画は、一体どのようなものなのだろうか。今のところ手掛かりは少ないが、たとえば「ビヨンドは想定以上の巨悪だった」というパターンが考えられる。

  ロンギの推理によると、ビヨンドは念の爆弾によって自分の子である王子以外を脱落させるつもりだとされている。しかしこれまでの描写を鑑みるに、おそらくビヨンドにとってもっとも重要なのは“暗黒大陸の捜索”であるはず。カキン帝国の権力を握ることが最終目標とは考えにくいのではないだろうか。

  実はその先にはさらなる野望があり、「壺中卵の儀」によって生み出された強力な能力者を暗黒大陸で利用することや、生贄にすることなどを狙っているのかもしれない。すなわち王位継承戦への介入は手段でしかなく、カキン帝国を転覆させるような壮大な計画があるのではないかと想像したくなる。

  他方で、大方の予想をひっくり返す形で、「実はビヨンドは善人だった」というパターンも考えてみたい。父親のネテロ会長は作中でも屈指の善性を感じさせるキャラクターで、多くの人々に尊敬されていた。その息子であるビヨンドに善性が宿っていてもおかしくはなさそうだ。

 たとえばビヨンドが実はロンギを含む子どもたちに愛情を抱いており、なんらかの事情によって念の爆弾が憑いてしまったとすればどうだろうか。あるいは彼女たちが殺されないよう、抑止力としてあえて憑けるしかなかった……という可能性もあり得るかもしれない。

 別の視点から見ると、「王位継承編」では“父によって残酷な運命を歩まされる子どもたち”が1つの主題となっている。ホイコーロ王は「カキン帝国の繁栄」という目的のために、王子たちをある意味手段として使っているからだ。

  だとすると、新たに出てきた“ビヨンドとその子どもたち”という関係性で、同じ構図を繰り返すとは考えにくい気もする。むしろ冨樫義博であれば、ホイコーロ王との対比で、子どもを道具にしないキャラクターとしてビヨンドを描くくらいの技巧を見せてきそうだ。

  はたしてビヨンドはどれほどの器をもった人物なのか。作中では今まで一切動く気配がなかった彼が何者かと接触しようとする描写があったので、ここからその計画の全貌が徐々に明かされていくのかもしれない。

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