誰も見たことがない『ONE PIECE』展覧会がスタート 140メートルの壁一面に1110話分の漫画を展示!
全世界でコミックスの発行部数が5億1000万部(2024年4月現在)に達する尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』が、どのように作られているのかを紹介した「ONE PIECE ONLY」展が10月9日から2025年1月14日まで、東京・立川の「PLAY! MUSEUM」で開催。会場には140メートルに及ぶ壁一面に『ONE PIECE』の1話から1110話までがコミックスサイズで張り出され、1000話のネームと原画も展示されて、27年もの長きに渡って続いてきた『ONE PIECE』の物語を振り返ることができる。
「この展覧会は、『ONE PIECE』の作品のことや、尾田栄一郎先生のことを紹介する展覧会ではありません。尾田栄一郎先生が作り、プロフェッショナルが受け取って27年間で作ってきた漫画のすべてが壁にあり、メイキングに関する資料もある展覧会です」
「ONE PIECE ONLY」展の会場となった立川「PLAY! MUSEUM」でプロデューサーを務める草刈大介がこう話したとおり、「ONE PIECE ONLY」展は『ONE PIECE』という漫画作品が、どのようにして印刷・製本されて「週刊少年ジャンプ」に掲載されたり、単行本として書店に送り出されたりしているかが分かる内容になっている。
鍵となるのが、会場内に19個用意された「宝箱」と呼ばれる展示群だ。その中には、『ONE PIECE』の記念すべき1000話を印刷した「週刊少年ジャンプ」の刷版や、印刷されたばかりの単行本が上下2冊分つながったままになっている見本、単行本の表紙が7色ものインキで印刷されていることがわかる資料などが置かれていて、作品が1冊の雑誌や単行本となって読む人のところに届く前に、どのような状態を経て来ているかを目の当たりにできる。
その集大成的な展示が、8Kのカメラで印刷の様子をとらえた映像インスタレーションだ。最初は、共同印刷の五霞工場で「週刊少年ジャンプ」がどのような工程を経て印刷されているかを紹介。クラシックの音楽にのって流れる映像は、ところどころスローで再生されて実際は猛スピードで印刷機の上を流れている印刷物の様子を、細部まで確認できる。続く単行本の印刷工程では、中央精版印刷の工場で単行本のページが刷られた後、束ねられ背表紙に糊が付けられ表紙が接着される様子を見て取れる。
そうやって刷り出され、全世界へと販売された『ONE PIECE』の単行本に収録されたエピソードは1000話を超えて今も続いている。「ONE PIECE ONLY」展では単行本で109巻までに収録された1110話分のエピソードをコミックスサイズで壁一面に張り出して、ストーリーを振り返ることができるようにしている。
全長は実に140メートル。連載当初から追いかけている人は懐かしいあのシーンを見つけて喜べそう。27年に及ぶ連載の途中で生まれた人は、自分の生年月日に近いエピソードを発見して、改めて長く続いている連載に感動できるだろう。
印刷前の単行本表紙の校正や原稿の校正も展示。細かい確認を経て印刷にゴーサインがでることが分かる。尾田栄一郎による直筆の表紙イラストも展示してあり、圧倒的な巧さで描かれたキャラクターと鮮やかに彩色されたカラーを目の当たりにできる。
そうやって遡っていく展示の先で、1000話の原稿やネームを見て、尾田栄一郎がどのような手順で原稿を作っているかを確認し、最後にネーム用紙が置かれた「宝箱」の展示で、作業用の道具がうずたかく積まれた尾田栄一郎の机の画像を見て、ここから『ONE PIECE』が生まれ、世界へと広がりアニメやドラマになって大勢を楽しませていることを確認できる。
その意味でも、『ONE PIECE』という作品が生まれるところを目の当たりにできる展覧会と言えそうだ。
「集英社漫画ヘリテージアート」では、『ONE PIECE』のイラストや名シーンを印刷して販売する事業を展開している。カラーのものはコットン100%の紙にアーカイヴァル・インクジェットプリントを行って原画の発色を再現している。モノクロのものは原画から活版を作り1枚1枚を手漉き和紙に印刷しており、いずれも発売されるたびに世界中のファンが買い求めている。展覧会場にもこのアートプリントが展示されており、印刷物ながら原画のタッチを確認して楽しめる。