第40回太宰治賞受賞作『メメントラブドール』書籍化 注目の新人作家・市街地ギャオの注目作
応募作1405篇の中から第40回太宰治賞を受賞した『メメントラブドール』が10月28日に筑摩書房より刊行される。
マッチングアプリでノンケの男を釣って喰っては「たいちょー」として行為シーンを裏アカに上げ、平日昼間はSIer企業の院卒若手正社員「忠岡」として労働しながら、新宿区住まいの家賃のために「うたちょ」の姿で男の娘コンカフェのキャストとして立つ元“高専の姫”ポジションに――。
性的マイノリティである「私」を主人公に据えた本作はネット用語やスラングを駆使し、時代から取り込んださまざまな新しい言葉のラッシュによって構成される。
圧巻のスタイルを持つ衝撃作として、選考委員の奥泉光からは「小説は読みやすければいいというものではないという以上に、特定のカルチャーを共有しない者を排除するかのごとき閉鎖的な言葉の使用と、案外と古典的な筋だての落差にもアイロニーの作動があって、作者の企みは成功している」と評された作品だ。また本作は第46回野間文芸新人賞にもノミネートされた。
■書誌情報
『メメントラブドール』
装丁:森敬太/写真:マ. Psd
144ページ/四六上 定価1540円(税込)
10月28日(月)発売予定