映画『キングダム 大将軍の帰還』で注目 王騎を“天下の大将軍”たらしめる圧倒的強さと無邪気さ
大ヒット公開中の映画『キングダム 大将軍の帰還』で、武神・龐煖と激闘を繰り広げた天下の大将軍・王騎。本稿では、秦の「六大将軍」の1人で、圧倒的カリスマ性で秦軍の兵士たちの士気を上げてきた彼の名台詞や名シーンから、彼の魅力を考察したい。
これぞ天下の大将軍! 信や隊員を鼓舞するセリフが理想の上司すぎる
戦災孤児だった信が「天下の大将軍になる」という野望を持ったきっかけは、幼少期に六大将軍の1人として圧倒的な強さを誇る王騎の強さを目の当たりにしたからだ。そして王騎将軍も、まだしがない少年兵だった時から天下の大将軍を志す彼に声をかけ、たびたび鼓舞している。
例えば、信が戦績を上げた際にかけた言葉は「ちゃんと成長しているようですね、童(わらべ)信」。その後も、信の戦の才能を認めつつも、経験値が足りないことを度々指摘しては彼に経験を積ませ、馬陽の戦で指令をくだす際には、ついに「『飛信隊』。この名をあなたの隊に与えます」と名前を授けるのだ。信の才や努力を認めつつも、足りないスキルを指摘しつつ、ここぞという場面で隊を持たせて「責任感」を植えつけさせている。
また新趙国三大天の1人、李牧が率いる趙軍に追い詰められた際には「ここからが王騎軍の真骨頂です」「この死地に力ずくで活路をこじあけます。皆の背には常にこの王騎がついてますよ」という名台詞と、自ら先陣を切って敵陣を突破していくスタイルで隊員たちを鼓舞。一般企業で言えば、エース社員でありながら面倒見が良く愛情深い、まさに「一緒に働き成果を上げたくなる上司」なのだ。
乱世を面白がり中華統一を夢見るロマンチスト
王騎の魅力は、部下から信頼される将軍としての能力だけではない。圧倒的強さと風格を持ちながら、「これだから乱世は面白い」「共に中華を目指しましょう」などの発言を幾度となくしており、好奇心旺盛さや強さに憧れる無邪気さなどは、ある意味信とも通じる少年漫画の主人公感があるのだ。
「中華統一」という前人未到の夢に挑もうとするロマンチストぶりも、「6大将軍」や「天下の大将軍」といった老齢さや成功者を表す肩書きを考えると意外さを感じる部分だ。王騎は経験値豊富で戦略に長けた武人としての一面と、戦場を楽しみまるで少年のような大志を抱くロマンチストな一面を持つ。
彼のこうした魅力は、伝説の秦王・昭王(しょうおう)との回想や、そして若くして国王となった嬴政に協力すると語ったエピソードにも描かれており、信と嬴政との関係性と通じるものがある。最強の将軍でありながら、少年漫画の主人公の心意気を持つ人物であること。それこそが彼を「天下の大将軍」たらしめているのかもしれない。