寺内康太郎×村田らむ『フェイクドキュメンタリーQ』を語る 「錯覚してしまう演出がQの魅力なのかも」
この夏、最注目の一冊
『フェイクドキュメンタリーQ』(双葉社/刊)の出版を記念し、寺内康太郎監督とライター兼漫画家の村田らむ氏が登壇する出版記念イベントが、8月4日(日)にタワーレコード錦糸町パルコ店にて開催された。来場者は約80名超で、会場は超満員、立ち見も出るほど盛況であった。
『フェイクドキュメンタリーQ』はチャンネル登録者数28万人超を誇る同名のYouTubeチャンネルを初めて書籍化した一冊。7月25日の発売以来、Amazon売れ筋ランキング1位を独占。発売から10日も経たないうちに重版がかかり、すでに3刷、約5.5万部のベストセラーとなっている。SNSでも“ヨムシヌ本”として話題が沸騰し、完売する書店も続出している。この夏もっとも注目されている一冊といえるだろう。
本の仕掛けもユニークである。本文には12のQRコードが挿入されているが、このQRコードを読み取れば音声が流れ、動画が見られる仕様になっている。話題が話題を呼び、SNSでは「今までになく怖い」と評判になっている。
ホラーをずっと読んできた愛好家はもちろん、若い世代にも人気になっている。なんと、Amazonでは「ギフトとしてよく贈られる商品」のランキングで2位になっているというから、その人気の高さがうかがえるだろう。
上映会とトークショーを開催
出版記念イベントは21時からスタート。日曜日の夜という時間帯にもかかわらず、会場にはファンが詰めかけ、熱気にあふれていた。寺内監督と村田らむ氏が登壇すると会場から拍手が巻き起こり、程なくして店内の照明が消灯され、ムードが高まった。
本日上映されたのが、前日にYouTubeでプレミアム配信されたばかりの「Mother」。公開された直後から、ネットでは“検証班”や“考察班”が出ているという。書籍にも、「池澤葉子失踪事件」という新作作品として初収録されている映像を、寺内監督と村田氏とともに鑑賞した。
ストーリーの中心人物は、幼いころに母が失踪したという池澤文雄さん。母の葉子がある日突然台所から姿を消し、神隠し事件としてニュースにもなった。その後、父も亡くなり、20年近く経ったある日、家に奇妙な留守電が入っていた。そして、実家にたびたびおかしな小包が届くようになったという。
そのなかには、母と思わしき人物が映された映像が記録されたテープも含まれていた。そして、謎めいた写真や怪文書がたびたび届くため、文雄さんは現在も週1で実家を訪れる。とにかくリアルで謎が謎を呼ぶ物語だ。ネタバレを含むためこれ以上の内容は明記しないでおくので、詳しくはYouTubeと書籍を参照されたい。