【漫画】龍の男の子と人間の女の子が一緒に過ごしたひとときーー「見守る」意味を考えさせられるSNS漫画
高校生時代に見た夢に着想を得た作品
――なぜ『雲の上から』を制作したのですか?
日向:本作を描く前に2本、読み切りを描いて雑誌に投稿したんですが全然ダメでした。その2本はどちらもSF作品だったため、「次は現実世界が出てくる物語にしよう」と思って本作を描きました。
――現実世界が出てきますが、そこに“天界に住む龍”というSF要素が加わった内容でした。
日向:高校の時、龍の男の子が夢に出てきて、そこからアイデアを広げました。その夢の静かさと不思議な懐かしさが印象的で、「描きたいな」と思っていました。また、私自身も両親が共働きで家に帰ると親がいないことが多く、自分の経験を主人公に置き換え、「その子だったらどう思うか」「どういう行動になるか」を想像してストーリーを作り上げていきました。
――日常とSFのバランスはどのように調整しましたか?
日向:調整したというよりは、自然とそうなっていきました。日常系漫画や異世界ファンタジーは好んでよく読むのですが、それまで読んだ作品を自分の中で融合したものが自然と出来上がってしまった感じです。
――ちなみに天龍が違う公園を少女に教えてもらおうとした理由は何ですか?
日向:天龍が「しばらく下界にいたい」「もう少し女の子や人間たちと遊びたい」と思ったからです。迎えにくるであろう付き人が自分を探し出せないように、目くらましのために遊ぶ場所を変えました。天界にいる時、天龍は友達と好きな時に遊ぶとかあんまりなく、シンパシーを感じていた少女と「友達になりたい」と考えていたのでしょう。
――天龍と少女の性格やビジュアルはどのように決めましたか?
日向:まず少女を三つ編みにしたのは、『魔法陣グルグル』(スクウェア・エニックス)のククリとか『“文学少女”シリーズ』(エンターブレイン)の遠子先輩とか、もともと三つ編みキャラが好きだったからです。性格は藤原ここあ先生の『dear』(スクウェア・エニックス)の主人公・散葉のイメージで考えました。一方、天龍のモデルは特にないです。“龍の男の子”という設定から、ありそうな見た目を考えたらこうなりました。
寂しさと喜び、感動を表現したかった
――天龍は「成龍になるかならないか」の狭間で揺れ動いていましたが、「成龍になりかけている」という人間では理解できない様子はどのようなイメージで描きましたか?
日向:草川 為先生の『龍の花わずらい』(白泉社)で主人公の女の子が龍になったシーンを思い出して描きました。本作は大学時代に制作したのですが、大学生から社会人になる自分の姿が重なったのかもしれません。というのも、漫画やイラストの業界に進みたいけどそこで働いている自分を想像できず、「私はきっと会社勤めをするだろうな」とちょっと後ろ向きになりつつ原稿用紙に向かっていた気持ちが表れたのかもしれません。
――インパクトのあるカットが多い作品でした。まず成龍になったシーンでこだわった点を教えてください。
日向:細長い体が画面に綺麗に収まるように構図を工夫しました。それまで人間しかコマに出てこなかったため、細長い生物を描くのに苦戦した記憶があります。
――また、「またね…」という少女のカットが、寂しさもありながらどこか喜びを含んだ表情でした。
日向:そうですね。寂しさと喜び、感動。このコマで表現したかったのは本当にその通りです。天龍が行ってしまうのは寂しいけど、「君は1人じゃない」「空の上から見てたから知ってる」と言ってもらったのが嬉しく、また自分のことを見守ってた人がいたことに感動しています。そういう複雑で重層的な感情が一コマの絵で伝わるように、顔をアップにして目に涙は溜まっているけど表情は柔らかい笑顔にしました
――最後にこれからの漫画制作における目標を教えてください。
日向:作品作りに注力しようと思っています。今描いているのは、『天界最強の女の子と田舎の弱小剣士の結婚から始まる話』です。日本刀でバトルしつつたまに夫婦でイチャイチャする異世界ファンタジーです。Xとpixivに投稿しています。たくさんの人に読んでもらえる作品にするのが今の目標です。今はとにかく描きたいモノを思いっきり描いて公開していきたいです。
『天界最強の女の子と田舎の弱小剣士の結婚から始まる話』:https://x.com/RrPrrd/status/1812465599374864401
日向葵さんのX:
https://x.com/RrPrrd
日向葵さんのpixiv:
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