【重版情報】発売後即重版『意識と目的の科学哲学』 今、読むべき“意識の難問”に挑むその内容とは

『意識と目的の科学哲学』 その内容とは

 進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む『意識と目的の科学哲学』(慶應義塾大学出版会)が5月21日の発売から程なく重版となることがわかった。

 私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待とも言える一冊だ。

■目次
はじめに
意識のあらまし/意識の問題は解決困難か/意識の進化研究

第1章 意識
形態失認/盲視/意識的な視覚と無意識的な視覚/鳥類の視覚/「皮質中心主義」への批判/「意識を定義する特性」/生物学的自然主義と神経生物学的自然主義/意識の段階的な創発/相同のスコープ依存性/脊椎動物における視覚意識の進化/進化と多重実現/階層離断/意識は生存に貢献するか/半側無視/意識と報告能力を結びつける見解

第2章 行為者性
意識と行為者性を結びつける/意識と歯ブラシの掴み方/意識の役割/行為者性に高度な認知能力は不要である/理由と理解/行為者性の程度問題と多様性/人間中心主義とアナバチの「愚かさ」について/本能/理性二分法の崩壊

第3章 目的
ラマルクの目的論/アリストテレスの四原因説/ウォレスのラマルク批判/機械論/機械論と目的論の緊張関係/目的論のジレンマ/プラトンの目的論/アリストテレスの目的論/アリストテレスの目的論は従来の批判を免れる/目的指向性/目的論の自然化と目的律/目的論の自律性/表現型可塑性

第4章 意識と目的の進化
「進化の総合説」の拡張/双方向的な修正/目的指向性の進化/「生成評価の塔」/意識はどの段階で進化したか/意識と行為者性の進化/理由と理解の進化/「生成評価の塔」を評価する/意識と生存をどのように結びつけるか/意識は適応的な行為選択の土台である/意識研究の今後

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