宝島夫妻殺害事件から考える、上野という街の特殊性 本橋信宏「現金商売というのは揉めやすい」

本橋信宏に聞く、宝島夫妻殺害事件の背景

──そうですね。栃木で発見されています。

本橋:そうですか……。いや、これは何か根拠が明確にある話ではないんだけど、上野というのは東京の北の玄関口で、北関東や東北からやってきた人、もしくはこれからそっちの方に向かう人が通る街です。だからなんとなく、このあたりの人は北関東や東北に意識が向かうところがあるように思うんです。偶然でしょうが、今回の事件の犯人たちが栃木に遺体を遺棄しに向かったことにも、何かそういうところがあったのではないかという気がします。

──改めて、上野という街の特殊なところがわかったように思います。

本橋:上野はあらゆるものを飲み込む街なので、数多くの魅力に溢れてもいますが、そこには色々な勢力が混ざるのでしょう。とにかく昔から飲食や風俗ではベンチャーの多い街ですし、今回の事件もその一端なのではないか……と、自分は考えています。

 近年は外国人観光客も多く、魅力的な街として多様な人々を受け入れている上野。その一方で、街並みにはいまだに戦後から続く闇市の面影がそこかしこに残り、玉石混合の雑駁さも併せ持つ。そんな乱雑さや猥雑な雰囲気もこの街の大きな魅力であり、宝島さんが自らの会社をここまで大きくできたのは、上野が移民を含むハングリーな人々の活躍の場であり続けてきたことの証左に他ならない。改めて、事件の残忍さに怒りと恐怖を覚えるとともに、上野という街の特異さに驚くばかりである。

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