『ドラえもん』出会いと別れの季節に読みたい名エピソード! あらためて振り返る「さようならドラえもん」

別れの感動エピソード「さようならドラえもん」

 藤子・F・不二雄の名作漫画『ドラえもん』には、様々な名エピソードが存在する。本稿では、その中でも出会いと別れの季節・春にぴったりの「さようならドラえもん」を紹介。ドラえもんとのび太の友情や人となりが分かるこのエピソードで、あらためて本作のファンタジー要素だけでない魅力に触れてほしい。

別れの夜、2人の行動、セリフ……すべてに感動するエピソード

 コミック6巻に収録されている「さようならドラえもん」は、ファンの間でも特に人気が高く、劇場版アニメでは原作7巻収録の「帰ってきたドラえもん」のエピソードと共に映画化されている。 3DCGアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』のクライマックスシーンにも該当する、本作の魅力を語る上で欠かせないエピソードだ。

 あらすじは以下の通り。ある日ジャイアンたちとのケンカになっていつものようにドラえもんに泣きついてきたのび太に対し、彼が「ひとりでできないけんかならするな!」と叱り、近々自分が未来に帰らなくてはいけなくなったと伝えるところからスタートする。ずっと一緒だったドラえもんが帰ってしまうことを受け入れられないのび太。それに対し両親は「ドラちゃんにはドラちゃんのつごうがあるのよ」「ひとにたよってばかりいては、いつまでもたっても一人前になれんぞ」などと大人の正論を述べるのだった。 

ドラえもんとの別れが「子どもから大人の階段をのぼる」経験に

 両親にとって、数年単位でライフステージが変わる子ども時代に友達との出会いや別れがあるのは当たり前だと映ったのだろう。筆者自身を振り返ってみても、小中学校時代からの友人や恩師で大人になってからも連絡を取ったり、定期的に会ったりする人は片手で数えられてしまうほど。学校以外の付き合いで続いている友人関係はもっと少ない。

 ただし、のび太にとってドラえもんはただの友達ではない。何をやってもうまくいかないことが多く、ジャイアンやスネ夫などのクラスメイトからも度々いじめられている彼にとっては、おそらく初めての自分の味方で、親友と呼べる存在だったのではないか。「さようならドラえもん」のエピソードは、のび太にとっては初めての親友とお別れで、まさに「大人の階段をのぼる」経験だったとも言える。

 別れの前日、ドラえもんとのび太が一緒の布団に入るも結局眠れず、夜空の月を見ながらある約束をするシーン。その約束を守るため、のび太がジャイアンと1人でケンカをするシーンなど、本エピソードでは2人の友情とのび太の変化を感じさせる場面がたくさん登場する。中でも、彼が大人になったことを感じられるのはラストシーンとそのセリフだ。

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