『ドラえもん』GPS、VR、カラオケ……現実となったひみつ道具を調査

『ドラえもん』現実となったひみつ道具を調査

  老若男女に高い人気を持つ漫画、『ドラえもん』。物語の見どころは、ドラえもんが出すひみつ道具。アニメの主題歌にも出てくるように「あんなこといいな、できたら良いな」という夢を叶えてくれる様子に、読者はうらやましさを感じたのである。

  そんなひみつ道具の数々は、時空を超えて現実のものとなったケースが多々ある。そこで今回は現実化されたドラえもんのひみつ道具と売上額を検証してみたい。

トレーサーバッジ(GPSシステム)

  トレーサーバッジはバッジをつけた人物の位置情報をモニターで確認できるひみつ道具。バッジがアンテナになっており、モニターに位置情報を送る。これは現在スマートフォンなどで相手の位置情報を確認できるGPSシステムと同じものだ。

  GPSの国内市場規模は350億円を超えているといわれており、カーナビゲーションシステムやスマートフォンの地図アプリなどに使われている。

  『ドラえもん』では野比のび太がジャイアンやスネオの位置情報を悪用していた。このような行為も、GPS時代の現代では珍しくない。革新的な技術に伴う犯罪も、『ドラえもん』は予見していた。

カラオケキング(カラオケ)

  カラオケの曲を流すとともに、自動採点をしてくれるひみつ道具、カラオケキング。ポータブルのカラオケマシンで、採点にはモードがあり、「おせじレベル」に合わせるとジャイアンのような歌でも、高得点を出す。

  1980年代後半に大流行したカラオケは、90年代に個室で楽しむカラオケボックスとなり、全国に普及。現在の市場規模は1550億円程度にも及ぶ。また、最近はスマホでカラオケを楽しむことができるアプリも登場しており、カラオケキングが現実化している。

観光ビジョン(VR)

  観光ビジョンは行きたい場所を指定すると部屋のなかにその場所が映し出されるというひみつ道具。これは現代のグーグルストリートビューやVR技術で現実化している。ただし、グーグルストリートビューはパソコンやスマホでしか確認できずVRはゴーグルを使用しなければならないという欠点がある。ひみつ道具のほうが、先進的だ。VR市場はアメリカで約195億ドルともいわれている。今後成長が期待される分野である。

税金鳥(税制度)

   鳥のようなひみつ道具、税金鳥。これは税金を公平に取り立てるためのひみつ道具で、指定した人物の貯金に目をつけ、渋る場合は強制的に電気を流すなどして金を徴収する。

  これは現代でいうところのマイナンバー制度やインボイス制度など、国が税金徴収を強める風潮と酷似しているであろう。なお「税金鳥」はメガネをかけていない、鳥の形をしたロボットのような道具だ。

 『ドラえもん』では税金鳥を使用したものの、ジャイアンとスネオは0円だった。調査してみると、ジャイアンは小遣いを貰わず略奪を繰り返していたため、税金をかける収入がなかった。一方スネオは、ずる賢い手で税金徴収を逃れていた。これも、現代に似ていると言えるだろう。売上総額とは異なるが、2022年度の税金徴収額は、約71兆1373億円と過去最高を更新している。

  『ドラえもん』にはまだまだ現実化してほしいけれどできていないひみつ道具が山ほどある。今後、現実化して大規模な市場に発展するひみつ道具も、でてくるかもしれない。

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