大手出版社のECサイト事業、終了するサービスも……ファンを囲い込む雑誌ビジネスの現在地

出版社のECサイト事業の現在地

 NHK出版のケースにしても文春マルシェのケースにしても具体的な事業終了の理由は発表されていないが、特に文春マルシェは2020年の立ち上げから一年で売り上げが1億円を超えるなど、景気のいい話題には事欠かなかった。NHK出版にしても、テキストとTV番組の両方で顧客を囲い込める状況であったにも関わらず、事業を縮小せざるを得ない状況に陥っている。

 具体的な理由はわからないものの、ECサイトの乱立により、誌面と連動したECサイト経由で物を買わなくても同様のものが他サイトで安く購入できることもあるだろう。

 もうひとつ予想できる理由が、「雑誌など出版物によるファンの囲い込み」という手法がいよいよ限界にきているということではないだろうか。雑誌を読み込んで定期購読し、さらにそのECサイトへアクセスしてアカウントを作り商品を注文して届くのを待つ……という手順を踏む理由は薄くなり続けている。

 もちろん、50代の女性向けの定期購読誌として部数が46.5万部(※日本ABC協会発行社レポート 2023年1~6月)を誇る『ハルメク』のようにファンを囲い込んだビジネスモデルで好調なものもあるし、即座にバタバタとサービスが終了するということはないだろう。ただ、雑誌が好きな人間としては、出版系ECサイトの閉鎖が「雑誌と出版」という業態の終わりの始まりにならないでほしい……と願うばかりである。

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