映画公開直前 漫画『マイホームヒーロー』の魅力はどこにある? 1ページ先さえ展開が読めない“頭脳戦”
ラスボス・津田健次郎の迫力に期待
普通のサラリーマンが半グレ組織相手に繰り広げる高度な頭脳戦こそが、『マイホームヒーロー』の魅力の1つであることは間違いないだろう。それに加えて、胸を打つ家族愛や「自分の罪とどう向き合っていくのか」という深いテーマなども上乗せされているため、マンガはもちろん実写でも十分通用する物語だ。
2023年10月から12月にかけて放送されたドラマ版では、こうした面白さがしっかり再現されていたが、さらに“実写ならでは”の魅力として役者陣の存在感が光っていたことも印象深い。
ハマリ役の筆頭だったのが、哲雄役を演じる佐々木蔵之介。どちらかといえば主役というよりは名バイプレイヤーのイメージが強い佐々木だが、だからこそうってつけの役柄だと言える。哲雄は一見どこにでもいるくたびれたサラリーマンであり、世間的には目立たない凡人だ。それでいて、いざという時に天才的なひらめきを見せ、別人のように覚醒するところが魅力なのだが、実写版ではその人物像が上手く表現されている。
また公式イベントでの発言によると、佐々木はかなり原作を参考にして演技プランを考えていたという。原作を「コンテ」のように捉えていたと言うほどで、哲雄のポージングをそのまま取り入れたシーンがあることも語っていた。
ほかにもピュアでありながら芯が強い零花役に齋藤飛鳥、平凡な主婦のようでいて度胸のある歌仙役に木村多江など、絶妙なキャスティングが多数。極めつけは殺された延人の父・麻取義辰を演じた吉田栄作で、視聴者のあいだでは「怪演」とすら評されていた。
さらに『映画 マイホームヒーロー』では、ラスボス的な立ち位置となる半グレ組織のトップ・志野を津田健次郎が演じるということで、こちらも期待せざるを得ない。
なお、公開されているあらすじからすると、実写版では原作の6巻から17巻で描かれた第二部のエピソードが省略される可能性が高い。作品世界を余すことなく楽しみたい人は、原作でそのあたりを予習した上で映画館に足を運んでみるのがいいかもしれない。