師匠は赤塚不二夫、『つる姫じゃ~っ! 』土田よしこが後世に遺した「性別」を超えて愛される漫画の描き方

土田よしこ死去 後世に遺した「性別」を超えたギャグ漫画

   9月15日、1970年代の「週刊マーガレット」を代表する漫画『つる姫じゃ~っ!』を描いた漫画家、土田よしこ氏が死去した。75歳だった。『つる姫じゃ~っ!』の公式Xアカウントから発表があり、土田氏の近影と直筆のコメントが掲載された。Xには当時の読者から「ずっと好きでした」「悲しいです」「笑わせていただきました」などのコメントが寄せられていた。

  土田氏は66~68年まで赤塚不二夫のアシスタント(フジオ・プロに所属)を経て、68年にデビュー。73年から連載が始まった『つる姫じゃ~っ!』は、師の赤塚の流れを汲む型破りな作風のギャグで人気となり、75年には日本漫画家協会優秀賞を受賞。約6年に渡る長期連載作品となった。その後、90年にTVアニメ化もされた。

  70年代といえば少女漫画が部数的にも大きく躍進した時期であり、池田理代子、山岸凉子、竹宮惠子、一条ゆかりなどの巨匠が活躍を始めた、まさに黄金期であった。土田氏はこうした華やかな絵柄が多い少女漫画界において、独特の存在感を持つ漫画家だった。少女漫画に破天荒なギャグを持ち込んだ立役者とされ、70年代の少女漫画の広がりを知る上でも重要な漫画家の一人とされる。

  訃報を知らせるポストに対し、漫画家も反応した。きたがわ翔は、「私が小学生の頃少女ギャグ漫画家の中では圧倒的存在感を放っていた。キラキラ少女漫画をディスるギャグは彼女が最初だったと思う」と当時を懐かしみ、直筆のイラストもUPした。寺沢大介は、「何年か前に吉祥寺の個展に伺った時にご挨拶して『子供の頃からファンでした』と言うと『私だって子供の頃はあったわよ』と茶目っけたっぷりの笑顔で答えてくださいました。チャーミングな方でした」と、思い出を綴った。

 ちなみに、土田氏のファンには男性も多いといわれる。『つる姫じゃ~っ!』は破天荒なギャグには明らかに少年漫画のノリも含まれていた。そのため、少年たちをも引き付ける魅力があった。妹や姉が購読していた「週刊マーガレット」を、『つる姫じゃ~っ!』を目当てに読んでいた少年が少なくないようだ。土田氏は晩年には原画展も開催され、多くの来場者を集めるほど、性別年齢問わず幅広い読者に愛された漫画家であった。

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