再会はあり得る? 『葬送のフリーレン』で交わされた「またね」の意味を紐解く

『葬送のフリーレン』「またね」の意味

※本稿は漫画『葬送のフリーレン』のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 勇者一行が魔王を倒した”その後”の物語を描く『葬送のフリーレン』。悠久の時を生きるエルフの魔法使い・フリーレンの新たな旅路で描かれるのは、数々の出会いと別れである。そのときどきで交わされる挨拶には、どういった意味があるのだろうか。本稿では、数ある別れの中から「またね」と交わした場面に注目。その意味合いや再会の可能性を紐解いていく。

これまでフリーレンが「またね」と言ったのは6回

 既刊12巻でフリーレンから「またね」と挨拶したのは6回である。戦士アイゼン(ヒンメル死後とオレオール旅立ち時で2回)、剣の里の長、ザイン、ラヴィーネ&カンネ、メトーデ&ゲナウだ。結論をいうと、現在のフリーレンにとって「またね」という言葉は、ストレートに「また会おう」という再会の約束を意味していると考えられる。エルフは1000年以上生きるとされる種族であるため、以前はフリーレン自身、数十年後でも、100年後でも、いつでも再び会えるものだと思っていただろう。だが、ヒンメルの死をきっかけに、人間は自分よりも遥かに短命なのだと改めて認識するのだ。

 それからというもの、フリーレンは「またね」の使い方を徹底しているのではないかと推察する。第1話「冒険の終わり」での挨拶を例にとってみると、ヒンメルの死後、残されたフリーレン、ハイター、アイゼンはそれぞれの帰路につく。ここでアイゼンには「またね」と声を掛けるが、ハイターには何も言わず見送ったのだ。アイゼンは約300年の寿命をもつドワーフ族であるため、フリーレンは今後も会える可能性があると踏んだのだろう。一方、ハイターは別れの直前に「長年の酒が祟った」「これで最後になるでしょう」と、死がもう近くにあることをほのめかしていた。この言葉を聞いたフリーレンは、次に会いたいと思う頃にはハイターはいない=再会は難しいと察し、あえて「またね」と言わなかったのではないだろうか。

 さらに「またね」を交わさなかったことでいえば、フォル爺の場合もハイターと同じ理由で言わなかったのだと考えられる。フォル爺はアイゼンと同じドワーフ族だが、300年の寿命に対し400年以上生きていた。また、記憶が曖昧になり始めていたことからも、今回が最後になるかもしれないと推測したのだろう。

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