『葬送のフリーレン』ヒンメルはフリーレンに恋をしていた? 複雑すぎた感情や行動から考察

『葬送のフリーレン』フリーレンへの恋?

   2023年9月29日にアニメ放送も開始した『葬送のフリーレン』は、物語の始まりが“魔王討伐後”という珍しい設定が特徴だ。長寿の種族・エルフのフリーレンと、登場人物同士の関係性もおもしろさの1つだが、なかでもヒンメルの感情が激重だと話題になっている。

ヒンメルの行動は仲間への親愛か、それとも……

 ヒンメルは魔王を倒したパーティーの勇者で、フリーレンとともに旅をした仲間の1人だ。共に冒険をしたことでフリーレンに大きな影響を与えた、とされている。しかし、フリーレンに対してとった行動の数々から、ヒンメルの方でもかなり重い感情を抱いていたことをうかがわせるのだ。

  ヒンメルの感情の重さを物語る行動として挙げられるのが、「久遠の愛情」という花言葉をもつ“鏡蓮華”の指輪を贈ったエピソードだ。ヒンメルは討伐依頼の礼として、フリーレンにアクセサリーを贈ると申し出た。その際にフリーレンが選んだのが、“鏡蓮華”の指輪。後に、フリーレン自身は花言葉を知らなかったと語っている。しかしフリーレンが選んだ指輪を見たヒンメルは、黙り込んで何とも言えない表情を浮かべていた。言葉にしないものの、ヒンメルが花言葉を知っていた可能性はある。彼はその後、ただ指輪を手渡すのではなく、跪いてフリーレンの左手に指輪を嵌めたのだった。

  また、ヒンメルは生前、各地に自分たちパーティーの銅像を建てさせていた。フリーレンに理由を尋ねられると「皆に覚えていて欲しいと思ってね。僕たちは君と違って長く生きるわけじゃないから」と答えたうえで、「でも一番の理由は、君が未来で一人ぼっちにならないようにするためかな」と付け加えたのだった。人間であるヒンメルは、自分がいなくなった後もフリーレンが寂しい思いをしないようにと思いやっていたのだ。

  ちなみに、ヒンメルとフリーレンの出会いは、ヒンメルの少年時代に遡る。森で迷ったヒンメルに道を教えてくれたのがフリーレンで、その際にフリーレンは、花畑を出す魔法を見せた。ヒンメルは「綺麗だと思った。生まれて初めて魔法が綺麗だと思った」と語っており、その思い出が、ヒンメルがフリーレンを仲間にした理由にもなったのだ。

  なお、明確に配偶者がいたという描写がないという理由から、「ヒンメルは生涯独身だったのではないか」ともいわれている。

ヒンメルの行動から伺える、一言では言い表せない感情の複雑さ

 こうしたヒンメルの感情や行動について、読者のなかでは「恋愛感情か否か」がよく議論されている。“鏡蓮華”の指輪についても「あの世界観なら指輪くらい贈るかなって思った」「RPG的世界観なら、指輪って装備的なものじゃないの」という“恋愛感情なし”派と、反対に「普通に手渡しだったら思わなかったけど、跪いて渡してるから少なからず恋愛感情はあったんだと思う」「あれ見て、結婚式の指輪を嵌めるシーンを想起した」という“恋愛感情あり派”に分かれている。

  ただ、ヒンメルに恋愛感情があったとする読者のなかにも「信頼感9とちょっと恋愛、みたいな感じで受け取った」「2人の関係を恋愛感情だけで片付けるのはおかしいけど、恋愛感情も確かにあると思う」と、はっきりした感情ではなく、淡いものだったのだろうと見ている。ほかにも「ヒンメルはフリーレンの感情が自分に向くとは考えていなかったと思う」と、ヒンメルがフリーレンに気持ちを伝えなかった理由を推察している。

 同作品の魅力の1つとして、“長い寿命をもつエルフ”が“寿命の短い人間”とともに旅をし、感情とは何かを考える姿が挙げられるだろう。フリーレンが思い出すヒンメルの行動の真意も、結局はヒンメル本人にしかわからない。読者はフリーレンとともに、ヒンメルの行動の真意に思いを巡らせ続けるのだろう。

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