『ぼっち・ざ・ろっく!』「廣井きくりの深酒日記」発売 人気漫画のスピンオフ、なぜ食事・飲酒が多い?

『ぼっち・ざ・ろっく!』初の公式スピンオフとなった『廣井きくりの深酒日記 ぼっち・ざ・ろっく!外伝』。

  アニメも漫画も大ヒットしている『ぼっち・ざ・ろっく!』の公式スピオンオフ作品『廣井きくりの深酒日記 ぼっち・ざ・ろっく!外伝』が2月1日に発売された。原案ははまじあき、漫画はくみちょうが担当。飲酒を愛するインディーズバンド「SICK HACK」の廣井きくりの日常を描いた漫画である。

  こうした食や酒を主題に描いたスピンオフ作品が、目に付くようになった。そして、食と合わせて日常生活を描いているものが多い。

『野原ひろし 昼メシの流儀』

 具体例を挙げると『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしが昼飯をとにかく食べまくる『野原ひろし 昼メシの流儀』、『邪神ちゃんドロップキック』のミノスが神保町の肉屋を巡ってとにかく肉を食べる『ミノスのビーフ100%』、『賭博破戒録カイジ』に登場する大槻太郎が主人公の『一日外出録 ハンチョウ』などがある。

 とにかく元ネタの漫画を問わず、飲食系、飲酒系のスピンオフ作品は多数登場しているのだ。なぜだろうか。いくつかの理由が考えられる。まず、『孤独のグルメ』のブームで、食の漫画が注目されている影響は大きいだろう。

 かつてのグルメ漫画といえば、主人公が料理の腕前を競ったり、料理の知識を競ったりするような対決系が多かった。しかし、今の時代は『孤独のグルメ』的な平和で安心して読めるグルメ漫画が主流になっている。実際、前出のタイトルはいずれも対決要素などはなく、原作のファンがゆるく読める内容になっている。

『ミノスのビーフ100%』

 こういったスピンオフ作品は、かつては原作者の漫画家が自身で手掛けるものも多かったが、最近は原作者とは別の漫画家が執筆することが増えた。それは編集部の主導で企画を作り、漫画家を探して、執筆してもらうケースが多いためだろう。

 そんなスピンオフ作品の制作は実は結構難しい。というのも、スピンオフを制作して失敗すると、原作のファンに顔向けできなくなってしまう。実際、タイトルは述べないでおくが、スピンオフで内容を凝りすぎてかえって失敗し、原作の評判を落とした例もあるのだ。

 ところが、キャラがおいしそうに食事をとり、酒を飲んでいる場面を描く漫画なら、とにかく原作ファンが安心して読める。クレームも出にくい。運が良ければ取材した店などとタイアップもできるかもしれない。食と酒は、いろいろな面でメリットが大きいチョイスといえるだろう。

『一日外出録 ハンチョウ』

 スピンオフでは、キャラが苦しんだり、重傷を負ったりと、ファンが悲しむような場面を描くのではなく、繰り返すが、設定を凝りすぎず、原作ファンが平和な気持ちになる作品にすることが重要だ。今後のスピンオフ作品のテーマになると思われる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる