『葬送のフリーレン』が受け継ぐファンタジーの遺伝子 「エルフ誕生」の秘密は描かれるのか

『葬送のフリーレン』“葬送”の由来を考察

 丁寧な作話が魅力の異世界ファンタジー『葬送のフリーレン』。人間・エルフ・ドワーフ・魔族といった種族がビジュアルの面でもしっかり特徴づけられ、かつアレンジが効いているのが面白い。

 本作の主人公であるフリーレンは、千年以上の時を生きるエルフで、尖った耳と美しい銀髪に加え少女のような容姿をしている。ゲームや漫画、小説の世界でもお馴染みとなっている特徴で、その起源には諸説あるが、北欧神話にその原型が見られる。

 共通した特徴は尖った大きな耳や鮮やかな金髪または銀髪、頭脳明晰、優れた魔法使いといった部分で、本作に登場する他のエルフを見えても、少年のような風貌と金の長髪ゼーリエ、フリーレンパーティの僧侶(現在別行動中)ザインが好きそうなお姉さんエルフ、ミリアルデなどがエルフらしい存在感を示している。一方で、がっしりとした体躯で金の短髪クラフトは、魔法使いではなく僧侶から派生した武道僧(ムンク)であり、髪の色もくすんだ緑色とオリジナリティがあり、今後詳細が明かされるのが楽しみになる。

 エルフはファンタジー作品において人気のモチーフであり、作中で出てきた皇帝酒(ボーウハスト)の石碑や、魔導書に書かれているエルフ語は、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の原作、『指輪物語』の著者J・R・R・トールキンが人工言語として創造までしている。『葬送のフリーレン』はこうしたファンタジーの文脈を踏襲しつつ、「エルフが人間を知るために旅を続ける」という新しい物語を紡いでいるのだ。

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