オピニオン誌、文芸誌……編集方針の変革期 雑誌離れを食い止めるには何が必要か 

オピニオン誌、文芸誌の変革期

 岩波書店が刊行するオピニオン雑誌「世界」が大幅に編集方針を刷新すると、毎日新聞社のインタビューに堀由貴子編集長が答えている。同誌は政治、経済、安全保障、社会、教育、文化など多様なテーマで誌面を校正してきたが、これまでの執筆陣は男性が中心であり、読者も中高年の男性が中心であった。これからは、女性や若者にも届くような誌面構成にしていくという。

 「世界」の現時点での発行部数は不明。1946年に創刊され、初代編集長はスタジオジブリの映画でも話題になった『君たちはどう生きるか』の著者・吉野源三郎である。ライバル誌と目されるのは「正論」「文藝春秋」「中央公論」である。「中央公論」は2022年に五十嵐文氏が編集長に、「文藝春秋」は今年編集長が交代。「ナンバー」編集長だった松井一晃氏が就任している。

 オピニオン誌に限らず、「文学界」「文藝」など文芸雑誌も軒並み編集方針を変えつつあるるのも興味深い。こうした背景には、言うまでもなく読者の高齢化と、雑誌離れにある。こうした老舗の雑誌は、失礼を承知で言うなら、現在では、名前こそ知っているものの読んだことがないという若年層も少なくないのではないだろうか。

  老舗のオピニオン誌全般に言えることだが、若者が手に取りにくく感じるのは、本の体裁が昭和の頃からそれほど変わっていないものが多いためかもしれない。表紙の雰囲気や紙の質感なども、電子書籍で慣れた世代にはなおさら読みにくいのではないか。こうした雰囲気が週刊誌にも見られる。例えば、もっとも読者が興味を抱くであろうグラビアページがモノクロのことがある。コスト面ももちろんあると思うが、現代の感覚では、「なぜ?」と思う部分が少なくない。

  雑誌の刷新に出版社が踏み切れないのは、従来の読者が離れてしまい、さらなる部数減を引き起こすのではないかという不安があるためだ。現に、大胆な改革を行った結果、急激に部数が落ち込んだ雑誌はたくさんある。しかし、その一方で多くの雑誌が昔のままの誌面を守り、刷新がなされないまま休刊になっているのも事実であろう。

 そうした状況を考えると、今回の「世界」の挑戦は非常に興味深く、意義深いものである。他の雑誌もまた、従来の読者層以外にもターゲットを定め、多くの人に雑誌を届ける取り組みを行っていくべきではないだろうか。気鋭の編集長による「世界」の変化に注目していきたい。

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