ハライチ岩井勇気の結婚がどうしても気になる理由 「年の差婚」を描いた人気漫画から考える
お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気と、タレントの奥森皐月が結婚したことを発表。テレビ東京系『おはスタ』で共演した二人のゴールインは、岩井37歳、奥森19歳という18歳の“年の差婚”としても話題になっている。
「恋愛に年の差なんて」とよく言われるところで、「当人同士が決めたことであり、周りがとやかく言うことではない」というのは大前提。そのなかで、20歳近くの年の差カップルはやはり珍しく、SNSを見ているとお祝いムードだけでなく、両者の思惑を勘ぐったり、10代での結婚を疑問視したり、という人も散見される状況だ。純粋に祝っている人も、何かモヤモヤしている人も含めて、多くの人が二人のストーリーを気にしている。
いずれにしても「年の差婚/年の差カップル」には近い年齢の二人とはまた違ったドラマがあるに違いなく、創作のテーマにもなりやすい。近年でも年の差婚/年の差恋愛をテーマにした漫画が多く生まれている。
例えば、2020年にテレビドラマ化された作品に『年の差婚』というストレートなタイトルのウェブ漫画がある。主人公は、44歳バツイチの花里晴海。お相手は29歳の社長令嬢・村上舞衣子だ。『年の差婚』の二人はお見合いで初対面を迎える。
晴海は一貫して巻き込まれる立場で、まっすぐな舞衣子の押しの強さが結婚の決め手になった。タレントであり、番組共演者として出会った岩井と奥村は特殊な例かもしれないが、年の差を乗り越えるだけの意志や情熱が、少なくともどちらかになければ結婚には踏み込めなかったのでは、とも思える。
また、よりリアリティのある年の差夫婦の姿を描いた作品として、綾乃かずえによるエッセイ漫画 『年の差夫婦はじめました。』も多くのファンに愛された。夫は57歳、妻は28歳で、年の差は実に29歳。綾乃さんは明るいタッチで振り返るが、周囲の人々には「私のパパより年上」「ファザコン?」と言われ、街に出れば親子か不倫カップルと思われ、そして親に報告すると……と、多くのストレスがあったことがわかる。
夫は「犯罪者」とからかわれることにすら慣れてしまったという悲しい話もあり、互いにタレント/有名人であれば話は別かもしれないが、やはり年の差婚には乗り越えるべき壁が多いことが伝わってくる。そんなことも笑い話に昇華しているタフな夫婦の姿に圧倒されつつ、癒しと感動をもらえる一作だ。
年の差恋愛を描いた直近の話題作で言えば、中島健人主演でドラマ化が決定している『リビングの松永さん』がある。高校2年生のミーコと、シェアハウスで同居することになった29歳のデザイナー・松永。当初、松永は「保護者」という意識で、いつも一生懸命なミーコを見守っていた。子ども向け番組『おはスタ』のMCと出演者という立場で出会った岩井と奥森も近い関係性だったかもしれない。
人としてのリスペクトや、見守ってきた立場から見える愛嬌や素直さがいつしか恋愛感情に変わっていく、というのはよくあることで、『リビングの松永さん』ではその過程が瑞々しく描かれている。年の差という一定の距離があるからこそ見えてくる、人の本質というものもありそうだ。
こうした作品を見ていくと、「年の差婚/恋愛」には「多くの壁と立場の違いを乗り越えるピュアな愛」というポジティブなイメージもあることがわかる。ある種の勘ぐりや嫉妬などもありそうだが、二人の間にあるだろう「年の差を超えて、なぜ惹かれあったのか」というドラマが気になってしまう、という人も多いのではないだろうか。