アーニャ、マリオ、ポケモン、ジブリ……東京のハロウィンでみた、人気キャラの動向を解説
もはや日本の秋のイベントとして定着した感があるハロウィン。渋谷区では、渋谷はハロウィンの会場ではないとして、渋谷に来ないようにと呼びかけがなされ、賛否両論があった。それでも、今年も各地で盛り上がりを見せたのは、日本のコスプレの文化、漫画やアニメの文化と親和性が高いからに他ならないだろう。
記者はハロウィンの当日、新宿歌舞伎町を散策したので、その様子をお届けしよう。話を聞くと、「コロナで3年間我慢したので今年は騒ぎたい」「渋谷がダメだと言われたので新宿に来た」「周りがコスプレしているのでハロウィンは人目を気にしなくていい」など、人によってコスプレへの思いは様々のようだ。
ゾンビやメイド、警官などはハロウィンのコスプレの定番であり、非常に多く見かけた。衣装がディスカウントストアで売られているためだろう。そして、漫画やアニメのキャラに扮した人も目立った。新宿でその傾向を分析すると、趣味嗜好の多様性ということだろうか、コスプレの対象とされる作品もかなり多彩な印象を受けた。
漫画・アニメで言えば、『SPY×FAMILY』は安定した人気で、彼女や子どもにアーニャのコスプレをさせている人もいた。コミケでは人気が高いヨルさんのコスプレには、新宿では遭遇しなかった。『カードキャプターさくら』のさくらちゃんや、『鬼滅の刃』も安定人気で胡蝶しのぶのコスプレを見かけた。完成度が高いと思ったのは、『ひろがるスカイ!プリキュア』のキュアスカイのコスプレ。『賭ケグルイ』の蛇喰夢子のコスプレなのか、私立百花王学園の制服を着ている人もいた。
スタジオジブリ作品も人気が高い。『魔女の宅急便』のキキ、『紅の豚』のポルコ・ロッソはもはやハロウィンの定番になっている気がする。ポルコはちょっとメタボ気味のおじさんでもコスプレできるので、コミケでも人気の高いキャラだが、ハロウィンでも選ばれやすいように思う。
外国人のコスプレも多く見られた。ゲームの『スーパーマリオ』シリーズと、『ドラゴンボール』が外国人には圧倒的に大人気。孫悟空の「亀」マークがついた道着は何人もコスプレをしている人を見かけたし、外国人のピッコロのコスプレはかなりカッコいいと思った。もちろん、『ポケットモンスター』も人気が高く、ピカチュウの着ぐるみをまとっている人は多い。改めて、日本のコンテンツの強さを実感できた。
池袋のハロウィンとなれば、「池袋ハロウィンコスプレフェス」が有名である。こちらは本格的にイベントとして開催され、コスプレに慣れ親しんでいる人が多く集い、極めて完成度の高いコスプレイヤーを見ることができる。池袋のような現場では、『原神』などソシャゲのキャラクターが人気であるようだ。そして、他との圧倒的な違いは、衣装が本格的であることだ。専門店で販売されている衣装や、この日のためにオーダーメイドしたという衣装を着ている人が多い。
その一方で、渋谷や新宿はいわゆるライトな層のコスプレが圧倒的に多い。衣装も、ディスカウントストアやネット通販で安く手に入るものが多い印象で、生地などは、遠目で見てもペラペラだ。池袋と比べると、決して完成度が高いとは思えないが、現在の漫画やアニメの流行をダイレクトに反映していると思われる。何より、日本人はこんなにコスプレやアニメ・漫画が好きなんだと感じる。
コロナ禍の自粛が完全にあけ、大盛り上がりだったハロウィン。渋谷の対策が来年にはどうなるのか、もしくは新宿も来年は規制がかかるのかなど、今後の動向に注目が集まる。地域住民しか参加できないなど厳格なルールが多い伝統芸能のお祭りなどとは異なり、ハロウィンほど、誰でも気軽に楽しめるイベントは他にないだろう。ルールを守って盛り上がることで、日本の文化、伝統にしていきたいものだ。